銀座一丁目新聞

茶説

安保法制の法案、大いに審議すべし

 牧念人 悠々

大型連休が明けると安保法制の法案が閣議決定され国会に提出される。政府の考え方はすでに先日発表された新ガイドラインに示されている。この新ガイドラインについて自衛隊の海外での活動が飛躍的に拡大し、日米安保体制は極東の範囲を超えて世界に広がると批判されている。だがそれは、いつに世界の情勢にかかっている。何でもかんでも自衛隊が世界に出動できるわけではない。そんなに簡単に軍隊を動かせると思っているのか。安保法制が整備されるとすぐに戦争をするのだといわんばかりである。あくまでも日本の平和と安全を確保するためである。
先に銀座展望台(4月28日)につぎのように書いた。『新しい日米防衛指針がきまった。平時から有事まで「切れ目のない」日米協力体制を構築する。自衛隊をこれまで以上に海外へ派遣するということだ。だが無条件ではない。国会の承認が必要だ。一国だけでは自分の国を守れなくなっている現在、米国をはじめ友邦国との連携は欠かせない。「金だけ出す」時代ではない。血も汗も流す時代である。兵法の最大の方策は「戦わざるして敵に勝つことである」日頃からこのことを念頭に置いて外交を進めるべきである。最も大切なのは国民が自分の国は自分で守るという気概を持つことである』
いまなおこの考えには変わりはない。戦後70年、ガイドラインは、初めは旧ソ連の日本進攻に備え、ついで朝鮮有事のためにその都度、改訂されてきた。時代の要請に応じて適時的確に変えてゆくのが、為政者と言うものである。
国会に提案される安保法制の法案を「戦争法案」と評した議員がいた。別に目くじらを立て怒ることはない。軍隊を持つこと自体戦争を前提としている。だからこそ「常在戦場」の気持ちを忘れず、「常に最悪の事態に対処する」態度を堅持できるのだ。さきの大戦の教訓は「戦争をしない」ということだ。これから先も日本の行く道は「平和国家」に変わりはない。 だが残虐無道なテロを繰り返し、戦争を仕掛ける国やグループがいる。これは排除するほかない。このための日米同盟であり、多国間協力である。あるいは国際協調により外国へ出て行くのである。戦争は常に想定外の事が起こり、戦闘は千変万化する。周辺事態という地理的制約がとりはれる所以のものである。日米協力にしても平時から緊急事態まで切れ目のない対応が要請される。日本がいくら法整備したからといって米国が期待通り動いてくれる保証がないという指摘がある。東日本大震災の際、真っ先に駆け付けてくれたのは第七艦隊の空母ではなかったか。津波による泥で埋まった仙台空港をいち早く取り除き救援物資の輸送に便利を図ったのは米海兵隊ではなかったか。日米同盟と言うのはそういうものだ。変えるとすれば不平等な地位協定だ。人権を尊重する対等な文明国の協定ではない。いずれにしても「戦争反対・憲法9条を守れ」と連呼して平和が守れるものではない。国に備えがあって「兵を養うに百年の計」が存在してはじめて国を守り平和を維持できる。何はともあれ、これが安保政策の基本であることを指摘しておきたい。