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「わが軍は…」は親しみを表す
牧念人 悠々
「わが…」は親しみを表す。万葉は歌う。「吾(わが)背子を何処行かめとさき竹の背向(そがひ)に宿(ね)しく今し悔しも」(詠み人知らず)。歌の意味は「私に夫がこのように、死んで行くなどとは思ひもよらず、生前につれなくして、後ろを向いて寝たりして、今となって私は悔しい」である。
安倍晋三首相の「わが軍は・・」を非難する識者よ、あなたは妻から「吾背子」と声を懸けられるような親しみを以て呼ばれたことはあるまい。
庶民は川柳を作る。
「この私『わが軍』最高司令官」千葉県・村上健
「『わが軍』はまさにしっかり粛々と」東京都・酒井武利(朝日川柳より)。
自衛隊法7条によれば「内閣総理大臣は内閣を代表して自衛隊の最高の指揮監督権を有する」とある。首相は自衛隊の親である。それが子供の自衛隊に対して「わが軍」と呼んで一向に差し支えない。安倍首相も所信を正直に披瀝せよ。識者は「自衛隊と軍隊を同一視した」と非難する。自衛隊は軍隊でないのか。他国の軍隊と同じように戦闘機、火砲、戦車、ミサイル。潜水艦、軍艦などの装備している。名前が「自衛隊」だから軍隊ではないというのか、「歩兵連隊」を「普通科連隊」、「工兵」を「特科」と言うので軍隊ではないというのか。ごまかしである。世界では通用しない。「専守防衛」が目的だから軍隊でないというのはおかしい。「専守防衛」でも戦う力がなければ負けてしまう。それ相応の戦力を持たなければいけない。現に自衛隊はその能力を持っている。軍隊なのである。
その実態を見ればわかる。東日本大震災の際、東北地方で唯一機能したのは自衛隊だけであった。「自己完結型」の組織であった。「常在戦場」常に万一に備え、危機意識に対応できたのである。率先して被災者の救助に当たり、食糧、飲料水の補給、風呂さへ提供した。遺体の捜索、その運搬に当たった。警察、消防にしばらくの間、ガソリンも補給した。天皇陛下は被災地をご訪問された際。東北方面総監で10万人の統合任務部隊の指揮をしていた君塚英治陸将と昼食をともにされ、その労をねぎらわれた。戦後、天皇が自衛隊のトップと食事をされるのは初めてであり異例であった。それを一般紙は報道もしなかった。「わが軍」と言うことを嫌いう理由がよくわかる。
「吾背子と親しまれゆくわが軍の精鋭すべて桜花かな」詠み人知れず
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