留学生は地方大学が好き
牧念人 悠々

 月刊「アジアの友」10月号(アジア学生文化協会発行)が「留学生 いきいき大学 地方大学の魅力を探る」をテーマに、留学生満足度3位の富山大学(留学生196人全生徒の2.6%)を取りあげている。

 アンケート調査によると、富山大学のいいところは“わが家のような留学生相談室”があることだそうだ。相談室の山ノ下久美子さんは、「留学生生活を精神的に応援する『駄菓子屋』ないし『雑貨屋』となり『情報』発信基地として、憩いと潤いを補充するオアシスになるように努め、配慮していきたいと考えている」と抱負を述べている。

 つまり、ここにくれば、ストレス解消の場となり、グチもいいあえるし、生活の知恵も出し合えるということである。

 そういえば、昔、日本の子供たちのたまり場は「駄菓子屋」であり「雑貨屋」であった。そこで店番のおばあさんがひとことふたこと話しかけたり、はげましてくれたりしたものである。昨今はとんと、そんな風景は見かけなくなった。

 富山大学の留学生相談室がそのような役割を果してしているとすれば嬉しい限りである。この5年間、東京都内の大学に通う留学生の割合が減少し続けている。その反面、地方大学への留学生は増えつづけているという。この傾向は喜ぶべき現象である。東京にくらべれば地方の方がせちがらくなく、人情も厚い。日本文化や生活習慣になじまず、イライラしがちな留学生には“人の情け”が何よりに薬になるはずである。留学生たちがいい印象をもって帰国してくれれば、将来日本との友好に大いに役立つであろう。


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