猿真似ファッションは止めようよ

山崎 れいみ

 次のNHK大河ドラマ『徳川慶喜』の慶喜役をやるモックンこと元木雅弘が紹介された時のヘアースタイルは、額のはえぎわから金髪が流れ襟足部分は黒い普通の髪でその異様さに驚いたものだが、先日渋谷の雑踏を歩いていて、その元木雅弘とそっくりヘアーの若モン数人に出会ったのにはさすがにびっくり。いったい彼らはシロウトだろうかクロウトだろうかと、しばし凝視したものだ。が、近頃よく思うのだが、最近の若モンはそのアピアランスからはシロウトかクロウトか判断ができなくなってきた。コギャル風、タレントの反町隆史、広末涼子風等々、そっくりファッションがぞろぞろ歩いているが、かつてはいくらそっくりでもどこか素人の感じがうかがえた。ところが昨今その差がないのである。

 カーリーヘアーにナス紺の口紅とマニキュア、黒レザー超ミニスカートに網タイツ、履く靴はピンヒール……とくればひと頃は玄人のそのまた裏の世界の人、と相場は決まっていたものだが、いまやごく普通の人がこんな“アブナイ”ファッションでコンビニのおにぎりをパクついていたり、街を闊歩しているのだ。

 そっくりファッションも“アブナイ”ファッションも近づいてみると、なんとも屈託のない顔で罪のない話をしている少年少女なのは、私には不愉快きわまりない。真似るのはダメと言うのではない。能なしを看板に歩くの止めて、同じ真似でもちょっとは自分なりの工夫をしてはいかがと言っていいたいのだ。
                       

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