火事は内的変化を示す
 | 新山 恭子 |
今回はふだん「夢を見ない」人が続けて夢を見ます。一つは火事、もう一つは釣りに関する夢です。中年の男性は“変な夢”が妙に心に残っています。いったいこれは何を伝えようとしているのでしょう。
夢の相談者は栃木・矢板市のK・Uさん、男性。48歳、会社員です。
- K・Uさん 『私はふだん夢は見ない方ですが、最近変な夢を続けて見ました。
夜、どこかの家が火事になり、燃え盛っているのを見ています。家の脇の物置からも、何かが爆発して火柱が上がり、燃え出してきました。二カ所とも全焼しました。
翌朝、テレビのニュースで男性アナウンサーが、火事があり、家屋が古いので短時間で全焼し、ほかに被害はなかったことを放送していました』
- 新山さん 『K・Uさんは、続けて見たもう一つの夢を送ってくれました。全文は紹介できませんが、その夢も含めて考えてみたいと思います。ふだん夢を見ない人が二つも続けて夢を見るということは、それほど強く気づいてほしいと、無意識がメッセージを送っているからです。
「火」は私たちの持つエネルギーを表し、夢の題材に時々、登場します。古い家が二本の火柱を上げて燃え、全焼してしまうのは、彼の古い価値観、爆発するほどの強いエネルギーがわいている状態を伝えています。
翌朝のニュースでほかに被害がなかったことを知りますが、これは彼の内面の変化で、今のところ他の人間関係や仕事に飛び火していない意味でしょう。
続いて見た夢を要約してみます。K・Uさんが釣りをしようと川で用意していると、糸が絡まり、たくさんのハリが右の手のひらに刺さり、脇の男の人に手伝ってもらって抜き取ります。
ところが、今度、彼がその男の人の釣り糸を結んであげようとすると、また絡まり左手にハリが刺さり、両手とも痛くて動かせないという内容です。K・Uさんが釣りバリと釣り糸を相手に悪戦苦闘している様子が伺えます。
最初に見た「火事」の夢は彼の大きな内的変化を伝え、「釣り」の夢はその後、「川」で表される無意識の中から何かを釣り上げようとするが、準備の段階でトラブルが起きている状態を示しています。
今までのやり方でよかれと思って行動し、ハリで刺されるような心の傷を負い、両手を使えないほど追い詰められた心理を伝えてきています。今までの生き方を問われ、大きな内面の変化を受け入れる時期にきているのでしょう』
- K・Uさん 『なるほど、思い当たることがないでもありません』
- 新山さん 『最近は青年のものより中年層の発達心理を考える動きがあります。
一通り人生を歩んだ後、ある時点で「積み上げる」ということから「味わう」ということに人生のウエートを移していく必要があると思います。新しい視点で“初心者マーク”をつけ、さまざまな経験をしていく態度が、心の危機を察知し、味わい深い後半の人生をつくります。周囲への態度をもう一度見直したり、やらなかったり忘れていることを整理してみると、何かヒントがあるかもしれません』
★新山 恭子(にいやま・きょうこ)1948年(昭23)12月21日、東京都生まれ。東亜国内航空(現JAS)客室乗務員として勤務した後、秋山さと子氏に師事しユング心理学を研究。現在は産能大学経営開発本委嘱講師を務めるかたわら、ドリームコンサルタントとして講演、研修などで活躍。ラジオ日本「新山恭子のドリームトーク〜夢はあなたへのメッセージ〜」(日曜後5:35)のパーソナリティーとして出演。
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