道場主今月の一言 (季語)「季語の選択、季語の二面性の活用
|
銀座俳句道場 道場試合第24回決着!! 3月の兼題は 「桃の日」 「雪柳」 「春の風邪」 でした。 今年(のNHK「俳壇」)は4月から第四土曜朝の放映、金曜日の再々放送が無くなりました。
|
|
|
|
||
|
|||
【入 選】
春の風邪ゆらり傾くアドバルーン 章司 |
きっと女児ぼんぼり灯し待つ明日 さと子 |
桃の日や鈴鳴るような京干菓子 方 江 |
巣立ちゆく女学生の頬桃の花 せいじ |
水明りひとつ加えし雪柳 あきのり |
雪柳の裏にゴルフの球探す 清 七 |
【投稿句】 (順不同・赤い字は選者添削、◎は入選)
桃の日や仏前に手を合わすのみ 瞳夢
○雪柳 滝のごとくに暴れけり
○引けばもう戻れぬものよ春の風
春風邪に襲われ臥せるパンダ組 吐詩朗
○桃の日や毛氈高き大ロビー
高速路の両崖に満つ雪柳
老二人散歩控える春の風邪 正己
故郷の水車の跡の雪柳
故郷の水車の跡や雪柳
桃の日の孫の晴れ着に目を細め
○桃の日や娘はひとり暮らし居り とみい
雪柳ぎっくり腰の痛さかな
○春の風邪陰で何やら言はれける
春の風邪陰で何やら言はれをり
○雪柳揺るるは鳥の遊ぶなり 洋光
○佳き人につい貰ひけり春の風邪
○桃の日の暮れてもさわぐ疾風かな。 泥臥
かくれたる小さき背ま白雪柳
○春の風邪旅の土産と共に来る
桃の日や想い出談義とめどなく のぼる
○春の風邪句集繰る手の乾きをり
○開戦のニュースは辛し春の風邪
桃の日や母愛用の花ばさみ だりあ
○憧れの人はあの方雪柳
○水音の昂ぶり過ぎぬ雪柳
○桃の日のくぐもる灯かり外は雨 もとこ
○春の風邪眉も引かずに日の暮れぬ
溢るるは胸内の白ぞ雪柳
溢るるは胸内の白雪柳(「ぞ」削除)
○桃の日の骨董時計唄い出す 倭文子
弁当の味似通えり春の風邪
木の床の電車が揺らす雪柳
利かん子も桃の日だけは静かなり -花子
桃の日や利かぬ気少し育ちたり
隣人は目元あやしき春の風邪
隣人がヘンな人ということですか?
桃の日を 祝える国で ありにけり ふづき
遠方の 友を送るや 雪柳
「送る」は遠方から来た友を見送るのでしょうか?
北国へ友戻り行く雪柳
雲に寝て 流れてゆきたし 春の風邪
雲に寝て流れゆきたし春の風邪
三人の兄を従え我が家のひひな 意久子
楽しい一句です。「我が家の」は要りません。
三人の兄の従う雛祭
従えし三人(みたり)の兄や雛祭
敗戦の焦土に芽吹く雪柳
水替ふる花瓶の手元春の風邪
「手元」は要りません。
水替ふる花瓶重たし春の風邪
○口ずさむ桃の日のうた四姉妹 竹雄
庭の隅夜目にも真白雪柳
「夜の雪柳」だけで、「夜目に真白」なのは伝わります。
言わなくても伝わる部分というのを考えるのも、
推敲の楽しさです。
春の風邪休診札の主治医かな
「春の風邪」を消してください。「休診札の主治医」と言うと、
首から休診札をぶら下げているみたいです。
休診の札の大きく雪柳
雪柳きょうは反戦歌ポトマック川流る さと子
ポトマックに反戦の歌雪柳
反戦歌河に沿い行く雪柳
春の風邪幻聴に親しき人の声
亡き人の声を聞きとめ春の風邪
○咲きそめし一枝のゆれ雪柳
中土手
○虻乗せて迷える戦車荒野へ
しっかりと考え、見た作品がそろいました。
○駆けぬける児等キラキラと雪柳 方江
○春の風邪抜けぬと老いをせむる姑
なかなか面白い一句でした。「老いをせむる」で、
気丈な姑さまの姿が思われます。
水仙で 気が緩んだか 春の風邪 葉笑
乗り切った 思った途端に 春の風邪
春の風邪 年度末だよ 遠慮せよ
楽しい作品ですが、表現がどうも川柳の守備範囲のようです。
メールで「社内川柳」というのが流行っている会社があるそうですが、
きっと、受けるでしょうね。
年度末ひきずっている春の風邪
○軍艦の波濤の高し雪柳 章司
桃の日や訪ふすべのなき桃源郷
庭隅にこれみよがしに雪柳 せいじ
華やぎのうちに冴えない春の風邪
○桃の日の 正座に小さき 拳かな 姥懐
納め日を 定めてよりの 雛飾
身の丈の 図形をなぞり 雪柳
○塩梅の 朝餉濃くせし 春の風邪
塩梅を少し濃くして春の風邪
○一先ずは 気遣ふ素振り 春の風邪
桃の日や志野焼の壷が息づく 清七
桃の日の息づいている志野の壷
朝々にメールを開く春の風邪
朝毎にメールを開く春の風邪
桃の日や日差しようやく暖かく 二穂
鼻をかむ春の風邪やら花粉や
○雪柳心の騒ぐごとく揺れ
○雪柳 小さき笑顔の 花満てり あきのり
春の風邪 隣も同じ咳連れて
雪柳立居振舞雪之丞 さかもとひろし
雪之丞変化といふも雪柳
冠を正す暇なく桃の花
雪柳風の辿る道妖精に
和箪笥の四つ身に娘等の桃の日 陽湖
「和箪笥におさめられている四つ身に娘たちの昔の雛祭の思い出を偲ぶ」
という意味なのでしょう。
和箪笥に四つ身古りゆく雛祭
風遊ぶ堤ふんわり雪柳
春の風邪高遠みやげに夫婦宅
高遠より夫のみやげの春の風邪
友癒えて微笑むごと桃の花 高木みどり
雪柳ふぶくなかに声忘きひとの
亡き人の声かふぶける雪柳
春の風邪押し黙り居てひと恋し
いささかは人恋しくて春の風邪
○桃の日や一升瓶の手土産も 小島弘子
○雪柳の向うに砂漠の砂嵐
○雪柳病臥する母の指透けて 美原子
病む母の指の透けゆく雪柳
春の風邪見舞いに行けぬもどかしさ
桃の枝そえて頂くくぎ煮かな
雪柳ひとりの午後の迅く昏れて 美沙
○銀河系の微塵の積もりて雪柳
銀河系の微塵積もりて雪柳
桃の日の如露水玉の祝ぎのごとく
語らいの 脇にひっそり 雪柳 河彦
○桃の日の 人形も早や 十九年
○雪柳風に吹かれて憂いけり 古井一歩
桃の日や一年ぶりねと誇らしげ
雛祭り小さき手にてかざりけり
○家族から順にもらって春の風邪
反戦の声重ぐるし雪柳 悠々
【遅れ分】
○足から頭へなにかがぬけし風光る 城生子
元気で、いい感覚の一句です。秀逸に採れます。「ぬけし」「光る」も
句の内容からいってこのままでよろしいでしょう。
確かめてたしかめにくき二月尽
まなうらに重ねしもの剥ぐ残る雪
このページについてのお問い合わせは次の宛先までお願いします。
www@hb-arts.co.jp