銀座俳句道場 道場試合第20回決着!!  

11月の兼題は 「ラグビー」 「まぐろ」 「冬ばれ」 でした。

 「ラグビー」というと
ラガー等のそのかちうたのみじかけれ  横山 白虹
枯芝に祈るがごとく球据ゆる        〃
の作品を記憶していただきたいと、願っている。    (谷子)

 

 赤ん坊は羽を忘れた天使、と言ったのは誰だったか。
 冬晴れの日差しの中の幸せな一風景。

 反古を焚く行為。「振り向かぬため」だと言う。
 強い意志の一句。

 「レンタルベッド」というと、電動のベッドを思う。
 不自由になった師。その師を慕って見舞った弟子。
 二人をつつむ静かな冬麗の空気。

【入 選】

冬晴やアトラス像の髭ゆたか      だりあ

冬日和獏棲む森も水の色        美沙

冬ばれとなりの猫の背伸びする     花子
冬晴やペンキ剥がれしボートの底    中土手
通称は定年岬冬麗           陽湖
冬晴れや話好きなる寺男        芽衣子
冬晴れや読みたき本二、三冊      ふづき
冬晴や米寿の母と並び撮り       章司
スーパーの客寄せまぐろ捌かれる    もとこ
冬晴れやオムツの横ウルトラマン   青木佳之

   【投稿句】 (順不同・赤い字は選者添削、◎は入選)

 大まぐろ観艦式か朝の市       蒼流
 ラグビーや欣喜雀躍ワントライ
冬晴れや白樺天に突きささり

冬晴の朝の襖のあけられて      意久子
   「冬晴」「襖」季語ですが、この句ではこだわらなくて
   よいでしょう。何かしらドラマを感じさせる一句でした。

冬日和赤いマニキュア背筋ののびる
 冬日和米磨ぐ音のシャカシャカと

冬晴や愛犬を呼ぶ日曜日        瞳夢
 南氷洋まぐろ探して人の業(ごう)
 かっこよきラガーの独走声の渦

ラグビーを目指す甥っ子退部する   松村竹雄
  〈ラグビーを目指す甥っ子退部せり〉       
 かぶと煮のマグロの頭珍味かな
 金色の夕日が沈み秋の夜

 実家より大きな熨斗つけ鰤来たる   倭文子
 ラガー等へエールを送る乳母車

 まぐろ場に 早口響く 競り声    西尾正巳
  「まぐろ場」というのでしょうか。
  〈大声の早口響かせまぐろ競る〉 

 ラグビーの 声援こだま 球技場
太陽の 高さを恋ひて 冬の晴れ

泥を着て無口の似合うラガーマン   ちあん
  雑踏をまぐろ三匹回遊す
  産声を上げる冬あり秋の夜    

 赤ワード今年こそはとラガーらの    清七
   「赤ワード」がよくわかりません。
 冬はれやカーテンちらり謝す新幹線
   〈新幹線のカーテンを引く冬の晴〉
 リハビリ車回転すしや黒まぐろはむ
 冬晴れや幕ちらちら謝す新幹線
 リハビリ車回転すし店黒まぐろ

ゴール越すラグビーボールの飛翔よし  泥臥  
 母の海遠く 鮪高々と吊りあげられる
 待ちかねて 耳澄ます犬にも 秋の夜
   〈待ちかねて耳澄ます犬秋の夜〉

冬ばれや濃き藍に浮く海ほたる    とみい
 穏やかな日和に背くラガー達
  「背く」がどういう状態を指すのかわかりません。
 健康も身分も赤身のみまぐろ    

 四五人が鮪のかまと睨めっくら     中土手
 転々と地球の終焉ラガー等よ 
  何かあるような、でもないような。  


 六十路なおしびには遠きまぐろかな  山本洋光
 冬ばれの露天の風呂を独り占め 
雄叫びや若きラガーの勝ち戦

 冬ばれや 満艦飾の 病衣かな    花子                         
 冬ばれや がんばりぬきし人 逝去

 冬うららバザー会場の笑い声     高木みどり
 ご苦労さん自らねぎらうまぐろ丼
 ひざ掛けとポットと飴持ちラグビーへ
   東京在住時代、ひざ掛けと珈琲と赤ん坊を抱えて秩父宮などにまいりましたねー。
   
 冬晴れや原発の浜波ばかり      小島弘子
    〈原発の浜に寄る波冬の晴〉
鮪競る仲買人の眼の光
埃積むラグビボール古館

 浜の宿 鮪の艶に姦しく       今尾方江
 氷雨からこゆきに変るラグビー戦
   〈氷雨から小雪に変わるラグビー戦〉
 冬ばれや腰かがめ見る山りんどう
    「冬晴」「山りんどう」季語が重なります
    〈陽だまりや腰かがめ見る山りんどう〉


 冬晴れや笑顔を詰める宅急便     青木由弥子
まぐろ買う何だかうれしくなってくる

病後には重き古伊万里まぐろ盛る    陽湖


 冬晴れに 五百羅漢の 声聞けり   芽衣子

 冬麗(うらら)防火訓練 鈴冴える  坂元宏志
 冬麗 利休ねずみの雲の峰
球追う眼 ひょうの眼差しラガーの眼
   〈球追うて豹のごときやラガーの眼〉

 冬晴れや木のてっぺんの鴉鳴く    よし子
冬晴れや飛行機雲は一直線
ラグビーの終わりて芝に夜のとばり
   〈ラグビーの果てたる芝に夜の帳〉

冬晴や謙虚に体に従う        美原子
   「謙虚に」が面白いです。
 冬晴や床屋帰りの顔が照り
不登校児 今は鮪の解体す

冬ばれに コーランの声 ひびきゆく(エルサレムにて) 本間和子
   〈冬晴れやコーランの声響き行く〉
冬ばれや 運河の街に枯葉舞う(アムステルダムにて)
   〈冬晴れや運河の街に舞う枯葉〉

三浦半島からまぐろ土産に帰省かな    さと子
 ラグビーに入部と着メロ照れながら

大マグロ 群集のまえに さばかれし     ふづき
 物のごと 冷凍マグロ 悲しきや

 オリオンをみつめて郷愁秋の夜       せいじ
   〈オリオンを見上げし愁い秋深む〉

 ラガー蹴る球つきぬけて茜空         章司
ラガー等のスクラム影の廻りをり
  〈ラガー等のスクラムの影廻りをり〉
ぶちあたり相打つラガー息太き

 開店にまぐろ捌かれ弾む声    吐詩朗
ラグビーのスクラムボール汗ひかる
 冬ばれやクレーン忙し駅前地
  〈駅前広場にクレーン働く冬の晴〉

傾れ込む縞のラガーに土煙       もとこ   
 冬日和葉影障子に揺れをりぬ
                         
冬晴れやみちのくに在す老母(はは)のこと 美沙
 母と子のラグビーさいはての漁港
鮪(しび)料りし祖母の襷や藍あせて

 冬晴やなつかしき声いづくより      だりあ
冬晴や選果場の窓大き
  〈冬晴や窓の大きな選果場〉

 秋の夜 いで湯にあくび 移りけり     姥 懐
回し飲む 魔法の水や ノーサイド 
 阿修羅なる ラガーや笛の 虜かな 
イベントの まぐろ「解体新書」なる 
 心臓も 兜も食わる まぐろかな
             
 冬ばれに 富士を望みて 歩み止め        河彦
珈琲二つ 冬ばれの朝 老いつつも
 冬ばれに 湖畔の鍋の 湯気囲む                      

 誕生日に母の作りしまぐろ寿司    山野いぶき
冬晴れや病後の父とそぞろ歩く
冬晴れやヘリコプターの旋回す

吾子と投げ合う古びしラグビーボール  青木佳之
 虹の彼方へ翼求めしマグロの子

何事か にはかに声す 余半の秋       あきのり
 回転すし まぐろの回遊 見えてきし
 
われも食ぶサバ科マグロ属クロ鮪        城生子
 冬晴や崖に厚みの生れてきし
ラガーらの声の洩れくる竹林
                    
 渓谷の 流れにカヌーや 冬日より  古井一歩
   〈渓谷の流れにカヌー冬日和〉
 冬晴れて 十年ぶりや 友の笑声
                  
冬晴れに古き恋文焼き捨てる       悠々
駅前のあの店もなき秋の夜

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