銀座俳句道場 道場試合第17回決着!!  

8月の兼題は 「メロン」 「夏草」 「蜘蛛(くも)」 でした。

伊香保に行き、(台風15号襲来の中)
 榛名山近くの「花野」をみてきました。
 マツムシソウ、吾亦紅、イタドリなど
 見事でした。「ゆう菅の野」と看板にありましたが、
 ゆう菅はもう終わっていました。
 数本は見ましたが。
 残暑、お大切に。

 

 ガラス瓶も、たたずまいも古い「漢方堂」の雰囲気が「蜘蛛」によって充分に伝わります。
 入ってはみたけれど、どうも買うのをためらいそうです。

 夏ラジオ体操というと、元気にさわやかな句が多いのですが、一色変わった一句でした。
 いわゆる、「よい目」を感じさせる句です。

 メロンという都会的雰囲気を、存分に伝えます。

【入 選】

夏草や長男長女家を出て        だりあ
       このままでもよろしいのですが、中七を「一男一女」としてみると、もう少しドラマが生まれましょう。
夢の世の 夏草燃えろ 焼き尽せ     蒼流
病む友に持たされしメロン香りたつ    高木みどり

夏草に庭をとられて母老いぬ       よし子

   【投稿句】 (順不同・赤い字は選者添削、◎は入選)

 女郎蜘蛛妖と艶との縞模様        ちあん
ずっしりとメロン農園より届く
 夏草や太古の記憶閉じ込める

 飛騨メロン箱に食べごろ書かれをり    幼月
   飛騨メロン今日食べごろと書かれをり
 蜘蛛の糸小径を塞ぎ困りけり
夏草や鍵さびつきし農具小屋
 夏草に入りて余生の甲斐出ずる

 列車過ぎ夏草もとの貌になる       倭文子
 地核より地表へ掬うメロンかな
 一寸「見立て」が過ぎました。
 耄うけ眼の少年の眸へ蜘蛛合わせ


 湯上りの メロンで漸く 人心地     陽湖
夏草に 越され売地の 赤い文字

 大小の雛の目集めメロン切る       美沙
夏草の伸びてゆく闇衛星飛ぶ
 夜の畳這う蜘蛛汝れも環境難民

    美沙さんの作品は大変個性的です。期待しています。

 夏草に寝そべる猫の風の道        西尾正巳
    夏草や猫の寝そべる風の道
一つとは淋しき数のメロンかな
 冷えた朝蜘蛛の巣白き庭の先

メロンパン女子高前の片陰に       中土手
   女子高前の片蔭メロンパンを売る
   ※明るく、面白い題材でした。

 夏草の風紋抜ける川明り         
蜘蛛の糸切れて無明の闇に浮く

妻の座す仏間のベット夜のメロン     清七
    仏間に置く妻のベッドや夜のメロン
 夏草や二度目は刈れず予後二人
水滴の蜘蛛の巣揺れる彼方此方
    
 夏草の茂み分け入り刺されけり      松村竹男
新築のカーテン揺れるメロン色
   メロン色のカーテン揺れる新居かな
 夜の蜘蛛君も我が家の住人か

 今昔のかはりし贅のメロン喰ふ      吐詩朗
奔放な畑の夏草あるじ病む
 一筋の不意の蜘蛛糸夕薄暮
    一筋の蜘蛛の糸垂る夕べかな
※ 「蜘蛛」「薄暑」共に季語です。整理できるところは、整理しましょう。
「蜘蛛の糸」と「夕べ」だけで、「夕薄暑」が無い方が、雰囲気は強くなるでしょう。


 墓苔むして 夏草払い 祖母と語る    河彦
自転車に からむ夏草 故郷にて
    自転車にからむ夏草故郷なり
 生まれ月 夏草の道 たどる女(ひと)

 黙々とメロンを運ぶスプーンかな     さと子
 先人の暦にふれて夏草紅く
 甦るなら切るもYOSHIと蜘蛛の糸   ★ここは変換間違いでしょうか?
    三句とも、何かを言いたいという思いは伝わってきますが、もう少し
    思いの手前で書いてみてください。


 そっと押しメロン食べ頃聞いてみる  山野いぶき
 熟れメロン皮のみとなり皿の上
夏草の生い茂りたる父母の畑(はた)
    父母の加齢の感じが思われます。

 夏草の森となりたる休耕田        だりあ
夏草の名前ひとつも知らざりき

 夏草や原色の花宅地跡          蒼流
夕張の香りはるばるメロンかな

盛り場に光の谷間メロン売り      小島弘子
 背丈より夏草猛し休耕田
鎌の月蜘蛛ゆっくりと太りゆく
    二日月蜘蛛ゆっくりと太りゆく
※ 「鎌の月」「ゆっくり太る蜘蛛」と重なると、いささか不気味です。


廃屋の庭の夏草風渡る          高木みどり
 蜘蛛はみな殺すべからず祖母の言い

 幼子の 待ちきれぬ目あり メロンきる  ふづき
追いつけず 中年の気力 夏草に
    中年の気力夏草に追いつけず  

メロン熟れ芳香放つ闇の中        芽衣子
    メロン熟れし香や深更の闇の中 
 夏草や一輪車に乗る子の笑顔

夏草の茂れる中をノラが行く       美原子
 夏草やコーチの声にボール蹴り

蜘蛛合戦敗戦言い換え終戦日       坂元宏志
    敗戦を終戦と言う交尾む蜘蛛
 蜘蛛の囲を破る決心ジャンプ台
 蜘蛛合せにおっとり刀の勘九郎

蜘蛛の囲のひろがりて今日敗戦忌     よし子
 遠来の友と二人のメロン切る

黄メロンの運ばるるより香りたち   古井一歩
    運ばれて香立ちゆくメロンかな
夏草を刈りし隣家の主と話す
 地祭りの太鼓の音に夏の草
 蜘蛛の囲は迷い径にあり人の世の

 夏草よ餓島の戦忘れしか         悠々
夏草や高遠の雨ぞ恋しき
    高遠の雨ぞ恋しき夏の草

 

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