銀座俳句道場 道場試合第10回決着!!  

1月の兼題は 「新年」「福寿草」「初鳩」 でした。

 草津温泉の湯もみ、もうもうたる湯気や、板の先の湯のうねりや重さが伝わってきます。めでたく、重要感のある「年新た」の感慨でした。

  めでたくも鳩や雀にまで「初」とつけて祝う日本人の特性は、言霊信仰を思わせます。大勢の鳩の群れが、大仏像の周りに餌をついばみ、参拝者の頭上を飛んでいくのでしょう。大仏の裾が翻ると感じた作者。のどかな初春の景色が広がります。

 「詩(うた)」を供えて」という把握が、「初鳩」に相応しい把握でした。

【入 選】

 福寿草光の糸の産衣着せ   青木佳之
  初鳩や肩書きは路上生活者    ちあん 
  巫女が行きククク初鳩大移動      三石陽湖
 新年に着メロが鳴るときめきて    松村竹雄 
 時差の国より今新年と声弾む    さと子 
 父母の寄り添う姿福寿草    よし子 

   【投稿句】 (順不同・赤い字は選者添削、◎は入選)

 版画刷る黄あざやかな福寿草        松村 竹雄松
 初鳩の庭に舞い降り吉兆か

 贈らるる表裏掛軸福寿草          清七
 城内の鏡餅割り初鳩の群れ
  鏡餅割りと初鳩が重なります。
   群れ来る鳩や城内の鏡餅(かがみ)割り

 年迎へラバ雪化粧主宰の碑

 姿見に 帯写す吾娘 年新に        三石陽湖
 時節を待つ 福寿草の里 全戸十
   時節(とき)を待つ里の十戸や福寿草
○巫女が行き ククク初鳩 大移動
     
 二度咲きの期待は失せて福寿草       さと子
○初鳩の歌に言祝ぎ新たかな

 新年の種も仕掛けもない地球        ちあん
○福寿草下町育ちを自慢する

 いつも見る通り新しお元日         よし子
   いつも見る通りながらにお元日
○父母の寄りそう姿や福寿草
    父母の寄り添う姿福寿草
 元旦の虹や未来をどの色に

○飛行機雲伸びる麓に福寿草         坂元 宏志
     飛行機雲するする伸びる福寿草
 新年の雲に申すぞ未来見よ

 若武者の 闘志みなぎる 新年大相撲    掘 裕子
      若武者の闘志ぞ新年大相撲
       「初場所」という季語も考えてください。

 福寿草 初釜濃茶の 菓子となり
 さぶい世に その名振りまいてよ 福寿草
 汚れずにと 靖国神社の 真白い初鳩
     靖国のただに真白き初鳩よ
 なじみ顔 欠けてさみしい 新年会     大根の花
 倒産の 工場あとにも 福寿草
    倒産の工場跡地福寿草
○公園の 初鳩かなり 肥満気味
    一番楽しかった一句です。
 福寿草 日だまりに似たる暖を持ち     美原子
 散歩する 顔ぶれ変らず 年新た
○年新た 実家の重き 雨戸開け

 新年の子ら駆け抜けり仁王門        小島弘子
 夕なずむ光の指輪福寿草

 新年のタオルやさしく湯浴みする      高木みどり
○福寿草店先にあり光満つ
 平和の使者 初鳩の歩み重く
   初鳩や平和の使者として一歩

 六十路すぎ シュプール描き 年迎ふ    古井一歩
 喜々として 小宇宙なり 福寿草

 しんとして 新年の店  開け放ち     河彦
○ふるさとの 新年の朝 久々に
 福寿草 見ることもなく 時は過ぎ 

 福寿草 初日に重ね 稽古積む       ひらつかライター
    何の稽古でしょうか?
        
 ここにゐるよどこにゐるの新しき年     青木佳之
○初鳩や星の匂いの降りしきる

○初鳩の落とせる種や子の寝息        青木由弥子
  クウクウという可愛い寝息が聞こえそうです。
 新年の電話互いに行き違い
 福寿草彫刻家の手は止まず

○新年に 帰れぬ故郷 母は待つ       埜馳         

 新年や七十七年妻の味           悠々


追加
 海峡を巨大船急ぐ極月           清七
○見舞客去りて向き合い蜜柑剥く
 由布岳の白布を被り山眠る
   由布岳の白布のごとく雪を被て

 

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