銀座俳句道場 道場試合第18回決着!!  

月の兼題は  「9月」 「秋の雲」 「濁り酒」 でした。

多くの新しい参加者を迎えました。ご一緒に真面目に、楽しく歩いて参りましょう。
今回の作品、粒が揃っていました。
10月13日BSの列島横断「俳句王国」スペシャルには、福岡からの選者で出ます。
ご覧下さい。
俳句の秋、ご清吟を。    (谷子)

 

 「獣の臭い嗅ぐ」が見事な把握でした。

 山村暮鳥の詩。その碑の上を過ぎる秋の雲。「翳り」を捕えて見事です。
ただし、「おうい雲よ」ではなかったでしょうか?

 濁り酒の見えない底に沈んでいるのが過去のこと、というのはお上手でした。

【入 選】

秋雲の入れ替わりをり峪の底    城生子(9月入門)
作者の視点、居る場所が明確に解る一句です。

秋の雲思わぬ形飴細工     しづ子
 飴細工のような雲の変化として書かれたのか、とも思いましたが、ここでは「秋の雲」で切って鑑賞しましょう。秋の雲と、手先で巧妙に変化する飴細工との取り合わせ、ととった方が一句が大きくなります。

心身の でこぼこ繕う 九月のリビング    ふづき
現代の日常を鋭く切り取っています。白いリビングの中に癒す心身。

秋の雲スーパーマンよ飛んで来い       ちあん
作者の視点、居る場所が明確に解る一句です。

父の逝きし八歳よりの秋の雲       美沙
作者にとって、「秋の雲」はただ美しいだけでなく、哀しい記憶につながります。
「八歳よりの」が更に哀切です

   【投稿句】 (順不同・赤い字は選者添削、◎は入選)

 秋の雲 喜怒哀楽や 百面相        蒼流
9月なり 不安も不況も ぶっとばせ
   9月は余程の場合(例えば9月11日など)以外は、やはり「九月」と。
混迷の 世相悲しや 濁り酒

コンサート野外劇場秋の雲         瞳夢(9月入門)
   「秋の雲野外劇場コンサート」
 小夜更けて静かにババの濁り酒
  タフなババさまの姿。やはり「婆」と
 しみじみと古里想う九月かな


静けさや九月初めのプールの底       中土手
 夏秋の雲の行き交うフォッサマグナ
隣国の飲み屋ぬるぬる濁り酒
    中土手さん、しっかりと書かれています。この調子で頑張ってください。

濁り酒プライドという厄介もの       城生子(9月入門)
 飛機に乗り地のうごきをる9月かな

 送られる 闇夜に白き 秋の雲       泥臥(9月入門)
   闇夜では雲は見えにくいのでは?「送られている秋の夜の白き雲」
 夏痩せは 九月半ばの かぜを待つ
   「夏痩せて九月半ばの風を待つ」夏痩せと九月の季重なりは、この場合構いません。
我が父は オッホとよびし 濁り酒

 夕暮れの赤提灯ににごり酒         西尾正巳
 九月とは思えぬ今日の子等の汗
 秋の雲ふくらむ雲の白眩し
    「秋の雲ふくらんでゆく白眩し」

 巫女の舞う千灯明や九月尽く        しづ子
濁り酒腑に沁みドラマ始まりぬ

 移り行く車窓の景色秋の雲         松村 竹男
妻と来て大観峰の濁り酒

秋の雲 くじら浮きしと あやす守り    花子(9月入門)
夢を見し ことは一瞬 秋の雲  
    しっかりと書かれています。どんどん書かれることです。

 風の盆 すすり泣く夜の 九月かな     せいじ(9月入門)
   「風の盆」と「九月」を重ねないようにしましょう。「・・・・・すすり泣く夜の風の盆」で推敲を。
吾亦紅 紅 点 点と秋の雲
 濁り酒 といえば藤村 想い出す

「百名山」十一峰の甲斐秋の雲       山本洋光(9月入門)
  「百名山」の甲斐といえば「甲斐駒ケ岳」。十一峰というのは、作者が百名山の中で、十一番目に登ったということでしょうか。「百名山の十一峰目や甲斐の秋」頑張って百へ。 
旅かばん仕舞ひてよりの濁り酒

 ニンバスで銀色ひと吹き九月の山      さと子
   「ニンバス」?。次回お教え下さい。追加――nimbusでしょうか?気象用語では雨雲や雪雲。
   美術用語では後光、光輪。それにしても「で」がよく解りません。
 玲瓏の天空にあそぶ秋の雲
  「天空」「雲」はなるべく重ねないようにしましょう。「玲瓏と遊びはじめし秋の雲」
 お好みは心に納めて濁り酒
  「て」は削りましょう。

 秋の雲 電話の声は くもりなき      ふづき 
一つの星と なるすべなきか 9月の空よ

お土産は ちゃだんご6串 京9月     宇佐美意久子(9月入門)
   六串、京九月と。
 ご先祖の 墓詣うでたり 秋の雲
9月宵 十九の孫と 並び膳
  「九月の宵十九の孫と並び膳」幸せな思いが伝わります。「菊の宴」でも。

葉に戯ふ(そばふ)風のゆたかな九月かな  吐詩朗
秋空の大きに溶ける小さき雲
 離合さかん千差万別秋の雲

 今年また 九月の涙 国へだて    河彦
 濁り酒 過ぎ去りし時 よみがえり
  「過ぎ去りし時よみがえる濁り酒」
故郷の 言葉に酔いて 濁り酒  

 揺るること拒む九月の果実なり    だりあ 
おもいきり九月の鯉の胴太き
 助手席につぶやき置きて秋の雲

 ため息の先に九月の天守閣         ちあん
   何でつくため息なのかが、もう少しわかるように。    
 レプリカのムンクの叫び濁り酒
  「濁り酒」でない季語の方が、句が生きるでしょう。

 逃げ切れぬ猛暑猛追九月入る       とみい(9月入門)
秋の雲ひたすら走る武蔵野線
 濁り酒清・洋までも呑む度量                              

 始業はやとげ疼くごと九月来る        美沙
ボッティチェリの青空飛べそうな九月
 飛天追う技芸天ゐて雲の秋

源流の澄みいし匂ひ九月かな         幼月
 濁り酒振る舞ひ来るるかっぱう着
 明六つの空一面に秋の雲

秋の雲昏きに懸かり眼の病         章司(9月入門)
たわむれに面影揺らす濁り酒
 どぶろくの今にごり酒おり酒とも
 間引かれしごとく虫の音九月逝く
  「間引かれしごとくに虫の音の細る」

 ジャズダンス熱気届くか秋の雲       山野 いぶき
  「ジャズダンス
秋の雲遠くふるさと想いけり
  「ふるさとを遠く思えり秋の雲」
 明け方に蒲団を掛ける九月かな

 下宿へと 息子は戻り 早や九月      陽湖
秋の雲 あの上我娘の 国なりき
   切ない一句です。
「どぶろくを売って やっと生きた」チョゴリの媼

 群青の湖面に写る秋の空          芽衣子
古り墓に供ゑまつらむ濁り酒

 更年期 二人のぐちに 濁り酒       美原子
 懸案を 九月の気候に背を押され
  「懸案や九月の風に背を押され」
もとめれば 逃げていきそな 秋の空

 木道の響き九月の老教授          小島弘子
 欲することも拒むこともなし秋の雲
  「欲するも拒むもあらで秋の雲」
蔵元に昼を居眠り濁り酒

 受話器置き余韻のさびし九月かな      高木みどり
  「九月かな受話器置きたるさびしさも」
見つめればしきりに走る秋の雲
片付けはもう適当に濁り酒

悪し事は 言わぬ誓ひや にごり酒     古川孝子(9月入門)
普賢岳峰に離さぬ秋の雲
放課後の太鼓の遠音秋の雲
  しっかりとした句がそろっています。

にごり酒 少し残りて人を恋う       方江(9月入門)
 子も孫も 去にて静かに雨九月
  「子も孫も去りて静かや雨九月」「雨九月」の使い方、お上手です。 
秋の雲 空路の下の 千枚田

 ターナーの絵心浮ぶ秋の雲         坂元宏志
湖畔には置きざりの夢九月来る
猫の目のひかりやわらか九月来る

ふと夫に寄りそうてみる秋の雲       よし子
 山の雲影を透かして九月かな
              
 乗せ給え同行二人秋の雲          悠々

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