銀座俳句道場 道場試合第4回決着!!  

6月の兼題は 「夏の星」 「蟻」 「ビール」   でした。

講評: 猛暑お見舞い申し上げます。7月最後の土、日曜を東京で過しました。
    台風余波で思いのほか涼しい墨田川花火大会の夜でした。
    (といって、花火を見たわけではないのですが)。
    今回は、題が難しかったのか、暑さのためか、跳んだ句が少ないようです。

    ビールの飲みすぎかもしれません。
    次回は秋に入ります。頑張って下さい。

 ※ 小さな(俳句では大きいことですが)添削のみ―てにをは等―で選びます。「あ、ここはでんぐり返して、違う言葉で」というような時は、別途原句に添えて添削したものをお手元に届けたいと思います。

 苦いビール、すぐ消える泡。これが「無償の愛」と自らに呟いたのか、「無償の愛」なんてあるものか、と苦い思いを噛み締めたのか…。
どちらにしても、見事にホップの効いた一句。

 ○アメリカ文学の中で、永遠の青春文学と言えるサリンジャーの、といえば「ライ麦畑でつかまえて」。テーブルの上の一冊の横には、アメリカ文化を象徴する缶ビールがなければ、万全とは言えないでしょう。ポップなイラストのような一句

 ○スーパーのレシート、その細かな数字。その数字の上を歩く蟻。まるで数字が動き出したようにも、数字を確認しているようにも思える。
現代の日常の暮らしを切り取った一句。

 

【入 選】

列離れ 一匹の蟻の行く所        美原子
 抱きよせて ひんやりするかな 夏の星  沙羅双樹
 生ビール かすかな不安 流し込む    小島弘子 
旱星 トトロの森が 笑い出す      ちあん
 蟻んこも がんばっている 始発駅    ライター 
夏の星 夫と二人の旅に来て       よし子

   【投稿句】 (順不同・赤い字は選者添削)

 

 彦星が 今年も出ず(いでず)早や三十路(みそじ)    沢畠 毅
 
這うを止め ありんぼ見つめる 乳幼児

 
  発砲に 押されてビール 苦味増し

 
  発泡?なかなか苦ーい一句ですが、どうも川柳。

 手話教え句の友高き天の川                清七

 
 瓦斯ビルの五十階眺む蟻の羽根

 
 酒屋閉め地ビール乾杯名古屋場所

 
  三句共、意余って逆に解らなくなっています。

蟻跨ぎ 重き扉の 医院かな               美原子

 おかえりを言わずにビール冷えてるよ

 懐かしき 我がふるさとの 夏の星            河彦

麦酒うまし 昔の歌を くちずさみ          

夏の夜 子どもが生まれた 星が飛んだ          沙羅双樹

ビール飲む 画面の中に いるごとく           ライター

 隅田川 黄金の泡 空の花


 バリの空 サザンクロスの輝きに ふと手を合わす     堀 裕子

  バリの空サザンクロスに合掌し
  手をあわせおりサザンクロスの輝きに

 砂糖まき 群がる蟻を 眺めた子の時

豪快に 飛ばしてみたい 泡のひげ

  楽しい一句でしたよ。

 夏の星 シリウス吠えて 恋を知る            高木みどり

 さわさわと ビールの泡消えるを みつめおり

  ここからドラマを進めてください。

 てのひらに ひらがなのうた 夏の星           小島弘子

鉄寛の蟻ベランダの蟻地獄

生ビール かすかな不安 流し込む

 けだるさに ひたる真昼や 蟻の列            安東美佐子

 地ビールは淡き紅 母は米寿

 暑に篭る身に旅心や 天馬(ペガサス)出づ

  「や」は削りましょう。


 寝苦しく 仰げば窓に 夏の星              埜馳

ベンチで 仮眠する 蟻と二人きり

  蟻一匹来て去るベンチでの仮眠

 怪獣と なって男の子は 蟻の道             ちあん

ビール飲む 愚痴のひとつを 友として

 蟻地獄 水没前の 宴かな                坂元宏志

 神(み)こし人 蟻の行列 跳び越える

ビール絶ち 縁側広く 雀の子

 息つめて 子ら眺めゐる 蟻の道             よし子

 退院の 夫目をつむり ビール飲む  
 
 色とりどりの蟻泳がせしスーラ              青木佳之

眠る子の握力増すや夏の星

少年は 蟻の行進 汗降らす               松崎裕子

 蟻の巣に 殺虫剤注ぐ 肌寒さ

 発泡酒 小遣い減で ビール食う  


 童心に返り見上げる夏の星                松村竹雄

 のど越しのビールが旨い季節くる

 釈迦になり蟻の行列見下ろして

 漱石の ポーズの父や 黒ビール             青木由弥子

石仏や フォッサマグナより 蟻来る

  なかなかの意欲作。下五もっと絞って。「来る蟻」。

夏の星 SLの釜に 火が入る

束の間を 乙女に返る 夏の星              陽湖

 蟻踏めぬ 二十才にのぞく 幼影

  言おうとしているところはよく解ります。

 蟻踏めぬ乙女二十歳の幼顔

 凝り性の 手作りビール 五坪占め

  今回、最も感動した内容。5坪でビール造っている人がいるんだー。
  映画「大脱走」の一シーンを思い出しました。あれはウオッカでしたか。
  奇特な方に乾杯!

 

<道場主の句>

夏の星 パソコン打ちて 恋もなし          悠々

 

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