銀座俳句道場 道場試合第2回決着!! 5月の兼題は 「夏」 「青葉」 「夏の蝶」 でした。 講評: はじめまして寺井谷子です。 ※ 小さな(俳句では大きいことですが)添削のみ―てにをは等―で選びます。「あ、ここはでんぐり返して、違う言葉で」というような時は、別途原句に添えて添削したものをお手元に届けたいと思います。 |
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○「地雷除去活動のシール」というものが伝える思い。瑞々しい一句です。中七の字あまりが効果的でした。 |
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○ストラビンスキーのバレエ組曲「火の鳥」。 |
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○ご夫婦の会話でしょうか。口の出さずとも… |
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○蝶は春の季語、夏蝶は夏の季語というだけではなく、夏の蝶はアゲハ蝶などの大きな蝶を言います。 |
【入 選】
夏の蝶ピアノレッスン聞え来る 芽衣子 |
石蹴りの三歩先から夏が来る ちあん |
パドックの青葉まぶしいデビュー騎手 毅 |
水底に寺沈み居て夏涼し 瑠璃子 |
青葉揺れ又三郎が駆け抜ける 蒼風 |
【投稿句】 (順不同・赤い字は選者添削)
【沢畠毅】
初夏に咲く 桜でにぎわう 北の国
パドックの 青葉まぶしい デビュー騎手
【清七】
脳塞し夏渾身の老二人
「生きようぞ」「頑張りましょう」青葉窓
夏の蝶介護のベッドまでの距離
【葉笑】
病床の 膳に青葉の すまし汁
桜の木 青葉に埋もれて 退院し
木の枝が 青葉に覆われ 退院し
○2句目、退院す青葉にまぎる桜の木
となさるとよろしいでしょう。
梅雨に入りました。お大切に。
【美原子】
フリスビー 投げ合う二人 青葉照る
青葉揺れ 風あることを 知らせけり
【河彦】
青葉わたる 風を迎えて 窓を開け
○1句目も、2句目もこのままで結構です。
3句目、一番大切に思って居られるのではないでしょうか。
想い出を抱き羽根閉ず夏の蝶 と、なさってみて下さい。
梅雨に入りました。お大切に。
【蒼風】
青葉揺れ 又三郎が かけ抜ける
若き日や 濃淡ありし 青葉かな
波を打ち 喜怒哀楽や 青葉揺れ
【沙羅双樹】
ささやきも 叫びも含む 青葉かな
【平塚ライター】
父の忌や 青葉の風も ゆるやかに
○「青葉の風も」――「青葉の風の」に。
【芽衣子】
夏の蝶 ピアノレッスン 聞え来る
○結構でした。
新しい ブラウスを着て 青葉かな
○「かな」を使っていますから、上五は「新しき」としましょう。この句も結構でした。
【堀 裕子】
夏誘う 神輿にお囃子 神田祭
手古舞の 背中で揺れる 紙牡丹
○課題から外れますが、結構でした。
夢の中 蝶々ひらひら 緑の野
【高木みどり】
夏だより 地雷除去活動の シール貼る
青葉かげ ライムライトの 口笛が
野の道の まんまん中を 夏の蝶
【小島弘子】
「火の鳥」の 管のきらめき 夏に入る
青葉風 窓あけ放ち ジャズ部室
大川に 潮満ちてきし 夏の蝶
【陽歩】
ざわざわと わきたち踊る 青い夏
○1句目、このままで結構です。
2句目、「青葉」「夏の蝶」と季語が重なります。
季語は、情報を沢山に含む言葉ですから、なるべく重ならないようにしましょう。
例えば、「夏の蝶」といえば、緑濃い景色も想像出来ますから。
梅雨に入りました。お大事に。
【安東 美佐子】
青葉空を穿ち 吹く風は水のにおい
○吹く風は水のにおいよ青葉空
青葉空水のにおいの風が吹く
青葉海原 白き校舎は その底に
○青葉海原が解り難い
海原のごとき青葉よわが母校
うとましき日もあり 高く照る青葉。
○勇気大歓迎!がんばりましょう。
【埜馳】
教えてよ どこに行ったの 夏の蝶
生きている 実感よ、湧く 暑い夏
この辻を 曲がって出会う 京の夏
【星 瑠璃子】
水底に 寺沈み居て 夏涼し
○なかなかコワクて、オモシロイ句でした。
句の力はこれが一番。いわゆる玄人が好む作です。
亡き犬の 赤き引き綱 夏めぐる
○出来れば下五「夏めぐる」を「青葉雨」などに。
「夏めぐる」では、時間経過が全面に出すぎましょう。
描くひと 祈る姿や 夏木立
【ちあん】
弔いの 列へ母似の 夏の蝶
石蹴りの 三歩先から 夏が来る
髭剃って 軽く伸びする 青葉風
【坂元宏志】
城跡や 青葉若葉の 雄叫びが
○勢いのよい句でした。
川波や おどりのデュエット 夏の蝶
【よし】
日高く 時止まりたり 夏の蝶
○最後は「うく」ととめましょう。
おそろいのご健勝を。
【青木佳之】
ビル谷間あなた任せの夏の蝶
幼子のかそけき寝言揺れる夏
神の犬それぞれの夏ぶつけをり
○今回はいささか「あなた任せ」でした。
二句目は結構です。
「揺れる」が強引ですが、親としての不安感が伺えます。
三句目、「神の犬」が何を意味するのか、正確なところが揺れています。
人間を意味するのか。ある人は狛犬を想像することも可能でしょう。
このままで現代社会の様相を捉えていると鑑賞、誉めることも不可能ではありませんが、あえて、苦言を呈します。
梅雨、本格的な暑さと続きます。
お大切に。
【松村竹雄】
しなやかに そよぐ欅や 夏の空
青葉して 庭の大樹の 無言かな
夏の蝶 暮れて変身 夜に舞う
【青木由弥子】
夏来たる窓打つ雨のまろきこと
○「まろやかに窓打つ雨や夏来たる」
青葉までとどかざる父陰深し
○この父が生者か死者かによって、言葉が変わります。
「青葉までとどかざりしや父の影」
「父今も在すと思う青葉陰」
黒揚羽追えば光を踏み越える
○まず、何をどのように伝えたいのでしょうか。
その点を自身の中にきちんとしましょう。
例えば、黒揚羽を追っていくことで、何かの境界(心理的な)を越えてしまうような感じを詠みたいのか、黒揚羽自体がそのようにみえるのか。
両方を(どちらか上手く出来ればイイ)考えておられるので、両方中途半端になっています。
それと、「光」という点に執着されているのですが、推敲過程で、「輝く」とか、光を感じさせる言葉 までを視野にいれられると良いでしょう。
この句は、自分で頑張って推敲される方が、実りが多いと思いますので、添削致しません。
ガンバレ!
【陽湖】
古道来て 落人の里 夏静か
しみとおる 青葉七度 娘の忌日
黄の土手の 園児の列に 夏の蝶
○1句目結構です。
2句目、胸痛くしつつ拝読いたしました。
「青葉七度」が思いを伝えてくれます。
「しみとおる」が変えれば変えられましょうが、このような「思いの句」は、手を入れたくありません。
梅雨に入りました。お大切に。
【吉田トシ子】
幼な子の 歩み数えて 青葉かな
小さき花 青葉に負けじと 手をつなぎ
【こやま峰子】
雁むれて 青葉の森に 別れつげ
○ご参加嬉しいことです。
一句、二句目とも、季語が重なります。(赤い字)
季語(季節の言葉)は、いっぱい情報を持った言葉ですから、
俳句ではなるべく少なくしましょう。
三句目は結構ですが、闇せまる夏草の影濃くしては とされると、もっとしっかりとなりましょう。
俳句を楽しんで下さい。
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