

| 銀座俳句道場 道場試合第14回決着!! 5月の兼題は 「さつき(5月)」 「南風」 「雷」 でした。 
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|  「はたた神」とは「霹癧神」と書いて、「雷」のことです。 | 
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| 雷鳴の中の点滴。動きの取れない状態と心理が伝わります。 | 
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【入 選】
| 春ことばことば五月が青くにおう 青木由弥子 | 
| 海鳥の吐き交うことば白き南風 清七 | 
| 茶畑を抜ける近道大南風 よし子 | 
| 五月なら白糸草に会えるかも さと子 | 
| 南風 漢方薬の匂いけり 芽衣子 | 
| ウインドに名刀の反り初夏の雷 小島弘子 | 
| もう何もしたくない日々五月かな 高木みどり | 
【投稿句】 (順不同・赤い字は選者添削、◎は入選)
 雷や 大氣震わせ 滝落ちぬ          蒼流
   「雷」「滝」共に季語です。なるべく重なるのを避けて
   推敲してみましょう。そのことも、作句の楽しみです。
 南風(みなみ)吹く 緑破って 塔立てリ
  「南風」「緑」もやはり季語。何故「季重なり」を避けるか
  というと、「季語」には多くの情報が入っていて、「南風」だけで
  緑の情景も想像されるからです。
○展覧会 ひしめく上野 五月かな
 雷で 家族揃った 蚊帳の中          葉笑
  これまた「雷」「蚊帳」季語です。
 雷で 久方ぶりに 抱きつかれ
  「地震・雷・火事・親父」に強い選者としては見習いたいーー
  と思いました。
○越後では 雪の始まり 雷で
  これを別名「雪起こし」と言って、季語になっています。
 酔っぱらって何が悪いんだ五月         ちあん
  そうだ、そうだ、と他人の旦那さんには申します。
  破調が、酔っ払いのクダを思わせてお上手です。
○降り立てば日光江戸村南風
  「日光江戸村」の、そしてそこを訪ねた人々の気分が
  巧く伝わります。 
 遠雷や仁王立ちする四番打者
 太棹のはたと止みたり大南風          西村倭文子
○古都あればカリヨン響く聖五月
 さつき晴 川辺のゴルフ プレー待ち      三石陽湖
  少し変えてみます。「川野辺のゴルフプレーや五月晴れ」
 佐千夫生家 茅葺き屋根を 南風過ぐ
  いい材料です。「大南風8大南」左千夫正貨の茅葺屋根」
○忘れたき一日の果て夜の雷           美沙
○江戸切子のような青空五月来る
 なつかしの寮聖五月              清七
  「なつかしの寮歌三番聖五月」
○立ち並ぶ屋上クレーン日雷
 
 風やんで 満月の下 さつき酔う        沙羅双樹
  「風やんで五月の月の下で酔う」
○人間など 知ったことかと 雷鳴す
○風五月ブラスバンドの音合わせ         竹男
 黒南風も吹かず今年は入にけり
  「梅雨」に入ったのでしょうが、いささか省略し過ぎ。
○原発の疑心の闇に雷雨かな
  疑心の闇の
○遠雷や世辞言ふ人の紅き唇      よし子
○病二年風わたりゆく五月かな     
  よし子さんの作品、揃っていました。段々とご回復の
  感触が伝わります。
 五月雨に川生き返る鼓の音      坂元宏志
○雷生まる雲の遊園地観覧車
  遊園地の大観覧車雷生まる
 雷神よ雲に彩織る果報者
○デートですか南風に漕ぎだす車椅子  さと子
  楽しそうですね。
 激怒する雷に追われて飯を炊く
 雷が追いかけて来る帰り道      芽衣子
○用水の流れ豊かに さつきかな
○五月雨や切符ながめてるひとり旅   美原子
 水田の鏡くもらす南風
  「水田」「南風」共に季語。「風吹いて水田鏡を雲らせる」。
 雷電や二重の虹を横に切り
 五月なれど 風冷たくて 憂き世また  河彦
○美しき 五月よさらに 美しく
   普通は避けたい「美しく」も、ここまで言うと、勝!
 はや蛍 闇しみじみと 我が五月
   「蛍」も「五月」も季語ですが、ここでは
   「我が五月早も蛍の出で飛びて」
 隣家からシチューの匂い五月寒     小島弘子
   「五月寒」とは言いません。
   「五月寒しシチューの匂い隣家から」
 南風や鍔の広さに海の色
   「鍔の広さ」ではなくて、刃の幅にして再考を。
 南風の日は口重く草をとる       高木みどり
○雷の下あなたの言葉信じない
 追憶のうちに凍りし南風        青木佳之
○いつの間にか語彙の増へたる五月の子
 雷の初体験は窓越しに
 南風や ワールドカップは 歴史こえ   古井一歩
 五月空 花咲き乱れ 姿愛しい
○遠雷や 亡き母の声 偲びけり
○遠雷や髪の重さを確かめる        青木由弥子
 雷迫る吾子の手熱く闇を裂く 
 五月野に佐久の風受け若返る       悠々
  「ひとり来て五月の佐久の風の中」

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