銀座俳句道場 道場試合第8回決着!!  

11月の兼題は 「冬」「山茶花」「枯葉」  でした。

講評: 楽しみに読んでる人が、赤が増えた、なんて言って
 きました。ついつい手取り足取りしてしまいます。
  寒くなりました。お大切に。         谷子

 「コロリ往生」を願って、老人達のツアーが行われている。
 何やらもの悲しい風景だが、現実には真っ赤な冬帽子など被って、元気いっぱいのおしゃべりが続いてもいよう。シビアな視点の佳句である。

 経済大国日本。世界各地から様々な人が集まる。日常生活のすぐ裏側を鋭く抉った一句である。

 少子化の風の中、新世紀へ向かって「大学改革」が急ピッチである。果たして真の学問の府としての有り様は…。作者は、この改革へ大いなる不信と不安を抱いている。その思いが、「バサ」という語を選ばせたのである。

 「人道的戦争」の末冬疾風も、強い思いがリズムを生んでいる。

 いささかの破調が、「どこ」と探す思いを伝える。

 透きとおるように書かれた美しい一句である。

【入 選】

 山茶花やカタカタと鳴るランドセル   芽衣子  
  山茶花やうれしき知らせ届きたり     よしこ
  山茶花よ反戦少女退学に       高木みどり
 立冬の朝フランスパン抱え       小島弘子  
  Kのイニシャルが刻印されし枯葉    青木佳之

   【投稿句】 (順不同・赤い字は選者添削)

 山茶花や人それぞれの処する道       ちあん 
放課後の枯葉かさこそ語り出す


縁談の重なりし冬父さん娘         陽湖
   父さんっ娘に重なる縁談冬日差
写真には 和服の亡父と 我と山茶花
 枯葉積む この阻道絵島は 流刑地へ
  冬高遠「右江戸へ」なる古き標 

 枯葉踏み 共に黙して 句をひねる      大根の花
  句を生むと共に黙して枯葉道
 廃屋が 似合う山茶花 赤一輪
 ジョギングも 長袖シャツへ 冬支度


 冬の日や 友と旅する 北の国        芽衣子
枯葉踏み 訪ねし賢治の 童話館


 温かろか様々な冬の瞳たち          さと子
  「冬の瞳たち」って何でしょう。
 敷き詰めた白き山茶花染めがたく
 内緒カサコソコソと枯葉の会話
  カサコソと枯葉の内緒話かな

介護婦の去りにし厨冬ざるる         清七
     去りたる 
山茶花の縁先にある介護靴

 若き日の千鳥ガ淵に枯葉踏む         松村竹雄
口紅の山茶花よりも鮮やかに


 独りよりふたり居はさびし 山茶花真白    美沙
  「一人より二人は淋し○○○」という形は、沢山に書かれている。 
 老いし師の言葉もどかし 白山茶花
 冬迫る 月世界のごと戦禍の地


透き通る水のごとくに冬の日射し       星瑠璃子
           冬日差
 夕さりの心の在処(ありか)冬茜
冬ざれの野に燦めくやモーツアルト


 山茶花のこぼれる笑い二笑い         坂元宏志
  「二笑い」って何でしょう。お教え下さい。 
弱ってもいざ飛びたたん冬のはえ
  この意気やよし。「冬の蝿」と。
 あるじなき木立の家の冬茶室


 枯葉をば美しと思う年となり         よしこ
  これでは短歌の上の句になって、下の七七を探します。
   美しと枯葉拾うておりにけり

 冬ぬくし離島に人の多かりし
  どのような離島かを書き込みましょう。

 冬の夜は あかぎれつくろう 母の姿が    堀 裕子
 山茶花は 名に似ず めでたい花が咲き
 風に舞い 踏みしめて 枯葉の音を聞く
  踏みしめて枯葉の音を聞いており

冬大根 葉つき泥つき 百円ナリ       高木みどり
 枯葉舞う 夕拝の鐘 ひびくなか
  枯葉舞う夕べの鐘の響く中


 筝の音の鎮まり山茶花降りしきる       小島弘子
言い切りて深い沈黙枯葉踏む
      深き

 風強し枯葉空飛び頬を打つ          蒼流
果てしなく空透き通り冬木立
 サザンカや陽を受けて赤乱れ落つ


親と子の思い隔たり冬にいる          美原子
 蒼風の書の背景に枯葉降る
 (勅使河原蒼風展をみた折作る)
 枯葉掃く若き神主髭をつけ


 ほんのりと姿をそめて枯葉舞う        古井一歩
暮ゆきて白き山茶花レクイエム
 天に舞う獅子座流星群冬の空


 冬向へ冬なつかしや昨非今是          青木佳之
山茶花の栞はさみし歎異抄
  「栞挟みし」なのでしょうが、「栞は淋し」とも読めます。
   この方が、句が山茶花の優しさを伝えますが…。


 一人老ゆバス待つ我の冬の朝         悠々
  バスを待つという時間、その刻刻に感じる「老い」。
   時間が粒で書かれているとでも言いましょうか。 

 枯葉弾く70男の面映ゆる
  「七十」と。

 

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