銀座俳句道場 道場試合第1回決着!!  

4月の兼題は 「春空」 「桜」 「さえずり」 でした。

講評: はじめまして寺井谷子です。
 北から南から三十数名の方々との出会いを楽しみに致しております。

 ※ 小さな(俳句では大きいことですが)添削のみ―てにをは等―で選びます。「あ、ここはでんぐり返して、違う言葉で」というような時は、別途原句に添えて添削したものをお手元に届けたいと思います。

 ○ちあんさん 伸びやかでよい句です。
 「苦手な」が眼目。ぎこちなくスキップを踏む少女の可愛らしさと、作者のあたたかな眼差しが伝わります。 

 

 ○ 瑠璃子さん 原句は「手鏡の」となっていましたが、「の」を取って「切れ」をつくりました。「手鏡の中にも」降りしきる景色は、読者の心の中で広がらせましょう。
 哀しく美しい一句です。
 

 ○ 芽衣子さん「曲り角」一つ間違えたことが、かえって春の長閑さを伝えます。間違えたことで、新鮮な「春」との出会いも生まれたでしょう。
 

  【入 選】

春の空から母性が流れてゐる       佳 之
桜咲くあの校庭でまた会おう       埜 馳
ハンカチの木見上げる先に春の空      毅 
囀りやくじらの雲の遊園地        弘 子
さえずりて嘘つきおんな漱(くちすす)ぐ  潤 

   【投稿句】 (順不同)

吉野散り 荷が重そうな 八重桜
ウグイスの さえずり聞こえる ハナミズキ    沢畠 毅

覗き見る 老い放題の 万朶桜
電工の 還暦迎う 春の空
臥す人に 勢を齎す さえずりの         津上清七

旅立つ師 さくらを供に 天に舞う
花満開 鳥獣虫も 活躍中            水蓮

目で追いつ 後ろ姿に 春の空
暁に 夢とさえずり 重なりぬ
躊躇する ポストの前に 桜散り         美原子

雪重く 桜満開 耐えて立つ
黒髪に 桜ひとひら 女学生
桜咲く セーラー服や 紺青し          堀込藤一

春うらら パソコンもHOT? 呆けはじめ       麻鞍女

桜見て 変容を意味する 夢を見た夜       沙羅双樹

一握の パンセくだけて 春の空
花塵 巻かれてなおも 紅(べに)ほのか      潤

春風に 北国赴任の 彼想う
桜咲き ピンクの園に 雪の舞い          平塚ライター

近づけぬ 人想ひをり 夕桜
さえずりや 三角屋根の 幼稚園          芽衣子

花を待つ 母の回復 祈りつつ
今年もまた せわしいなかの 桜かな        堀 裕子

「思い川」父里の名の さくら知る
花あらし 大根葉きざみ から炒りす
いちょうの芽 さえずるごとく 天に萌ゆ
青空に 月白くあり わかれの日          高木みどり

大の字に 身ひとつ溶かす 春の空
静寂に 佇む桜 夜の貌              小島弘子

あけてゆく 薄紫(モーブ)輝く 桜雲   
生と死を 祝うがごとく ふぶけよ桜        陽歩

春空に 淡き憂いを とき放つ
さえずりの 縁先にふる 過疎の村
書を置いて 窓を開けば 花明り          美佐子

うつむいて ほほとくちびる 桜色         埜馳

桜散って 千の空動く 真昼かな
寂として 桜咲くなり 龍穏寺           星瑠璃子

一面に たなびく雲か 桜花
我が生命 桜に託し 古希の春           香山佳子

酒二合 ほのかに媚びる 夕桜
囀りの 七色十色 筑波山             痴庵

去る人は 花人となりて 宴つづく
黒楽に 風景ありや 鳥囀る
囀りや 地平の夕日 未だ落ちず          坂元宏志

咲ききって 薄墨桜の 哀しみよ
春空を キャンバスにして 背振山(せぶりやま)
春空や 筑紫次郎は午睡時(ひるねどき)      よしこ

さくらさくら 古びしままの 時の紐
さえずりと 独りぼっちの 思い出と         青木佳之

風に舞う 桜と見れば モンシロチョウ
春空に 吸いこまれたり 水平線
さえずりが 山桜わたる 里深く           松崎裕子

雅子妃の ニュース吉兆 八重桜
露天風呂 風景大きく 見える春
さえずりを 口笛吹いて 返しけり          松村竹雄

一本の 桜記憶を ダウンロードする
薄紙を 重ねて春の 空生るる
さえずりや はっしと胎の子の動く          青木由弥子

春空に 霞んで八ツ(八ヶ岳)の雪姿
さくら咲き 日々色淡き 山となり
名も知らぬ さえずり聞こえ 小径入る       陽湖

みちのくに さくらとともに よめが来る       吉田トシ子

花びらは 散るや散らずや 水の上
桜吹雪 盃(さかずき)に受け 客一人
闇に浮かぶ 花に恋して 時を止め               河彦


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