銀座俳句道場 道場試合第2回決着!!  

5月の兼題は 「夏」 「青葉」 「夏の蝶」  でした。

講評: はじめまして寺井谷子です。
 北から南から三十数名の方々との出会いを楽しみに致しております。

 ※ 小さな(俳句では大きいことですが)添削のみ―てにをは等―で選びます。「あ、ここはでんぐり返して、違う言葉で」というような時は、別途原句に添えて添削したものをお手元に届けたいと思います。

 ○「地雷除去活動のシール」というものが伝える思い。瑞々しい一句です。中七の字あまりが効果的でした。
 出来れば、「夏だより」を「青葉風」に。
 

 

 ○ストラビンスキーのバレエ組曲「火の鳥」。
  金管楽器のきらめきに立夏を捉えた感覚に期待します。

 

 ○ご夫婦の会話でしょうか。口の出さずとも…
 支えあう思いを、窓いっぱいに繁る青葉が応援していましょう。

 

 ○蝶は春の季語、夏蝶は夏の季語というだけではなく、夏の蝶はアゲハ蝶などの大きな蝶を言います。
 ですからここでは、「嘘」が可愛い少女の嘘などではなく、成熟した女性の嘘を想像させるのです。
 上手い一句でした。

 

  【入 選】

夏の蝶ピアノレッスン聞え来る      芽衣子
石蹴りの三歩先から夏が来る       ちあん
パドックの青葉まぶしいデビュー騎手    毅 
水底に寺沈み居て夏涼し         瑠璃子
青葉揺れ又三郎が駆け抜ける       蒼風 

   【投稿句】 (順不同・赤い字は選者添削)

  【沢畠毅】

 初夏に咲く 桜でにぎわう 北の国
 パドックの 青葉まぶしい デビュー騎手

  【清七】

 脳塞し夏渾身の老二人
 「生きようぞ」「頑張りましょう」青葉窓
 夏の蝶介護のベッドまでの距離

  【葉笑】

 病床の 膳に青葉の すまし汁
 桜の木 青葉に埋もれて 退院し
 木の枝が 青葉に覆われ 退院し

 ○2句目、退院す青葉にまぎる桜の木
    となさるとよろしいでしょう。
    梅雨に入りました。お大切に。

  【美原子】

 フリスビー 投げ合う二人 青葉照る
 いいわけの 嘘の行方や 夏の蝶

 ○講評お読みください。

 青葉揺れ 風あることを 知らせけり

  【河彦】

 青葉わたる 風を迎えて 窓を開け
 歩を止めて 青葉若葉の 声を聞く
 夏の蝶 想い出抱(いだ)き 羽根を閉じ

 ○1句目も、2句目もこのままで結構です。
 3句目、一番大切に思って居られるのではないでしょうか。
 想い出を抱き羽根閉ず夏の蝶 と、なさってみて下さい。
 梅雨に入りました。お大切に。

  【蒼風】

 青葉揺れ 又三郎が かけ抜ける
 若き日や 濃淡ありし 青葉かな
 波を打ち 喜怒哀楽や 青葉揺れ

  【沙羅双樹】

 ささやきも 叫びも含む 青葉かな

  【平塚ライター】

 父の忌や 青葉の風も ゆるやかに

○「青葉の風も」――「青葉の風の」に。

  【芽衣子】

 夏の蝶 ピアノレッスン 聞え来る

○結構でした。

 新しい ブラウスを着て 青葉かな

○「かな」を使っていますから、上五は「新しき」としましょう。この句も結構でした。

  【堀  裕子】

 夏誘う 神輿にお囃子 神田祭
 手古舞の 背中で揺れる 紙牡丹

 ○課題から外れますが、結構でした。

 夢の中 蝶々ひらひら 緑の野

  【高木みどり】

 夏だより 地雷除去活動の シール貼る
 青葉かげ ライムライトの 口笛が
 野の道の まんまん中を 夏の蝶 

  【小島弘子】

 「火の鳥」の 管のきらめき 夏に入る
 青葉風 窓あけ放ち ジャズ部室
 大川に 潮満ちてきし 夏の蝶

  【陽歩】 

 ざわざわと わきたち踊る 青い夏
 陽の吐息 青葉の匂い 夏の蝶

 ○1句目、このままで結構です。
 2句目、「青葉」「夏の蝶」と季語が重なります。
 季語は、情報を沢山に含む言葉ですから、なるべく重ならないようにしましょう。
 例えば、「夏の蝶」といえば、緑濃い景色も想像出来ますから。
 梅雨に入りました。お大事に。

  【安東 美佐子】

 青葉空を穿ち 吹く風は水のにおい

 ○吹く風は水のにおいよ青葉空
   青葉空水のにおいの風が吹く

 青葉海原 白き校舎は その底に

 ○青葉海原が解り難い    
  海原のごとき青葉よわが母校

 うとましき日もあり 高く照る青葉。

 ○勇気大歓迎!がんばりましょう。

   【埜馳】

 教えてよ どこに行ったの 夏の蝶
 生きている 実感よ、湧く 暑い夏
 この辻を 曲がって出会う 京の夏

  【星 瑠璃子】

 水底に 寺沈み居て 夏涼し

○なかなかコワクて、オモシロイ句でした。
 句の力はこれが一番。いわゆる玄人が好む作です。

 亡き犬の 赤き引き綱 夏めぐる

○出来れば下五「夏めぐる」を「青葉雨」などに。
 「夏めぐる」では、時間経過が全面に出すぎましょう。

 描くひと 祈る姿や 夏木立

  【ちあん】

 弔いの 列へ母似の 夏の蝶
 石蹴りの 三歩先から 夏が来る
 髭剃って 軽く伸びする 青葉風

  【坂元宏志】

 城跡や 青葉若葉の 雄叫びが
 ぐんぐんと 景を伸ばして 夏木立

 ○勢いのよい句でした。

 川波や おどりのデュエット 夏の蝶

  【よし】

 日高く 時止まりたり 夏の蝶
 携帯の 子ギャルにまぶし 青葉かな
 たなごころ さらして青葉 雫うけ

 ○最後は「うく」ととめましょう。
    おそろいのご健勝を。

  【青木佳之】

 ビル谷間あなた任せの夏の蝶
 幼子のかそけき寝言揺れる夏
 神の犬それぞれの夏ぶつけをり

○今回はいささか「あなた任せ」でした。
 二句目は結構です。
 「揺れる」が強引ですが、親としての不安感が伺えます。
 三句目、「神の犬」が何を意味するのか、正確なところが揺れています。
 人間を意味するのか。ある人は狛犬を想像することも可能でしょう。
 このままで現代社会の様相を捉えていると鑑賞、誉めることも不可能ではありませんが、あえて、苦言を呈します。
 梅雨、本格的な暑さと続きます。
 お大切に。

  【松村竹雄】

 しなやかに そよぐ欅や 夏の空
 青葉して 庭の大樹の 無言かな
 夏の蝶 暮れて変身 夜に舞う

  【青木由弥子】

 夏来たる窓打つ雨のまろきこと

○「まろやかに窓打つ雨や夏来たる」

 青葉までとどかざる父陰深し

○この父が生者か死者かによって、言葉が変わります。
 「青葉までとどかざりしや父の影」
 「父今も在すと思う青葉陰」

 黒揚羽追えば光を踏み越える

○まず、何をどのように伝えたいのでしょうか。
 その点を自身の中にきちんとしましょう。
 例えば、黒揚羽を追っていくことで、何かの境界(心理的な)を越えてしまうような感じを詠みたいのか、黒揚羽自体がそのようにみえるのか。
 両方を(どちらか上手く出来ればイイ)考えておられるので、両方中途半端になっています。
 それと、「光」という点に執着されているのですが、推敲過程で、「輝く」とか、光を感じさせる言葉  までを視野にいれられると良いでしょう。
 この句は、自分で頑張って推敲される方が、実りが多いと思いますので、添削致しません。
       ガンバレ!

  【陽湖】

 古道来て 落人の里 夏静か
 しみとおる 青葉七度 娘の忌日
 黄の土手の 園児の列に 夏の蝶

○1句目結構です。
 2句目、胸痛くしつつ拝読いたしました。
 「青葉七度」が思いを伝えてくれます。
 「しみとおる」が変えれば変えられましょうが、このような「思いの句」は、手を入れたくありません。
 梅雨に入りました。お大切に。

  【吉田トシ子】

 幼な子の 歩み数えて 青葉かな
 小さき花 青葉に負けじと 手をつなぎ

  【こやま峰子】

 雁むれて 青葉の森に 別れつげ
 夏の蝶 バラの葉陰で ひとやすみ
 夏草や 影深くして 闇せまる

 ○ご参加嬉しいことです。
 一句、二句目とも、季語が重なります。(赤い字)
 季語(季節の言葉)は、いっぱい情報を持った言葉ですから、
 俳句ではなるべく少なくしましょう。
 三句目は結構ですが、闇せまる夏草の影濃くしては とされると、もっとしっかりとなりましょう。
  俳句を楽しんで下さい。

 

このページについてのお問い合わせは次の宛先までお願いします。
www@hb-arts.co.jp