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       道場主今月の一言 
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       銀座俳句道場 道場試合第100回決着!! 8月の兼題は 「終戦の日」、他、自由でした。 
 
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       添寝した赤子の小ささ、あたたかさ。「預かれる」が一句の眼目。「畏れ」ともいえる感覚。小さな「命」を守る思いが、終戦日への思いに重なります。 | 
    
      
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      帰省の子のことでしょう。一人は久々に帰ってきて、又戻って行く、もう一人は帰って来られなかった。此処からは読み手の私の胸の中で拡がった思いですが、「帰れぬ子」…彼岸に居る子、との想像を刺激しました。一句に満ちた寂しさからでしょうか。 | 
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      気力充実していればあの戦争に勝ったかも、と言っているのではありません。今もって、事に当たる時、自身を鼓舞する言葉として、少年時に植えつけられた言葉が檄として起こるのでしょう。「気力」なんていう言葉から遠い青年たちの群像も、この一句の向うに透けて見えます。 | 
    
【秀 逸】
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       山奥の鬼やんまぬうつと出しかな 明法  | 
    
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        「山奥の鬼やんま」の「オ」がよく働いています。  | 
    
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       少年の力任せに夏を蹴る 弘子  | 
    
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      元気といささかの鬱屈。「少年」そのものを伝えてきました。  | 
    
【投稿句】 (順不同・赤い字は選者添削、◎は入選)
  水の星いくさは絶えず終戦日            満子
   <終戦日戦は絶えず水の星>
○九条もて平和維持せよ敗戦忌
   誠に誠に。与えられたものだという論がありますが、それを64年守ってきたこと、与えた国へ逆輸出すべきでしょう。
○空の下みんな腑抜けて敗戦日           二穂
○夏の川下着を曝す疎開の児
   水着なんかなくても、下着のままの水遊び。「曝す」がいささかの疎開児の苦さを伝えます。
  日ざかりに一陣のかぜ醉芙蓉
○お揃いの帽子新し登山道              瞳夢
○信仰のおやまに若者サングラス
   何だか気になる…。でも、結構行儀がよかったりして。
   余談ですが、昨年あたりから、保育園や幼稚園で、園児にサングラスを励行させるようになったとか。
   紫外線が昔とは違うので、このままだと若年性白内障のオソレありの対策とか。  
○九十九里無月の海に浪白し
○硫黄島に果てし恩師や敗戦忌           紫微
   きっとやさしく、若い恩師だったのでしょう。
  敗戦日成人となる二日前
○送り火や兄小艦の軍医長
   「小艦の軍医長」が思いを伝えます。
○正座して平和を希ふ長崎忌            のぼる
○終戦日神域を掃く朝の巫女
  残飯のカレーや敗戦の日を思ふ
○生れてすぐ大粒の泪敗戦忌             龍子
○若田さん帰還の地球夏の草
   「夏の草」がよく働いています。
  城垣の高し実石榴色付きて
○日本の行く手不安や終戦日             高風
   ほんとに何処へいくのでしょう!
  ぐい飲みのビールにゆれる喉仏   
  大西日連峰の影鮮やかに      
○消えることなきセピア色終戦日           照子
   「消えることなきセピア色」という把握。セピア色でもいつまでも…、と願います。
  夕風にほっと一息酔芙蓉
○又一つ訃報届きぬ秋暑し
  終戦日配給思ひ米炊ぐ                あゆ
  磴担ぐ御神火盛ん瀧涼し
○夾竹桃すつくと立ちて終戦の日          意久子
   「終戦日」でよろしいでしょう。
○食卓にふかし芋のあり終戦の日
  十三の玉音放送家はなく
  生と死の時が決めたる敗戦忌            韶一
  敗戦忌廻し喫む煙草のほろ苦さ
   〈廻し喫みし煙草の味や敗戦忌〉
  終戦の日被爆少年みな老いぬ           竹風
○震災やブルーシートの目立つ夏
○草いきれ命の匂いと知りにけり
○記憶のフラッシュそこで始まる終戦日       明法
  火の鳥になりたる気持秋の雲
   季語をいろいろ動かしてみてください。もっとスゴイ句になりましょう。
○若き父の写真と会話終戦日           さかもとひろし
   軍服の父の写真でしょうか。
  敗戦日予科練うたって今は稀
   「今は
  森の街秋の熊本城天守閣 
   熊本城天守閣は見事な景ですが、熊本=「森の街」ですから、いささか観光CMの感あり。
  兵児帯のちょうちょ結びや終戦日         天花
○ラジオ体操の出席カード八月尽
○板ずりの胡瓜鮮やか雨催ひ
   「雨催い」により、胡瓜の鮮やかな色と瑞々しさがクローズアップされます。
   それだけに、「鮮やか」が必要かどうか、再考の要ありとも言えます。
  退院に靴をおろすや終戦日            美原子
○お見舞いのベッドに忘れ秋扇
○マヒの手の少し動きぬ秋近し
○敗戦日ひとり黙して針運ぶ             みどり
○復讐を誓う十二の敗戦日
  秋暑し首・膝の蝶番狂う
   〈蝶番狂う首・膝秋暑し〉
○終戦の日百歳の母瞑目す              弘子
  このドレス着し人のあり原爆忌
   作者には解っていても、読者には一寸伝わり難いでしょう。
○空蝉もあまた落ちおり九段杜            有楽
   〈空蝉の〉と。
○山は雲館は夏霧平泉
   〈山は雲館夏霧〉と。
  漢天と詠みにし古人(ひと)を敬慕して
○終戦の日母のモンペに名札あり          方江
   〈終戦日〉と。
○ひぐらしの鳴きて会いたくなる夕べ
  むくげ咲く暁5時の散歩道
○終戦のその日は京の万灯会            河彦
   いつも終戦記念日が8月15日〜お盆であることを思います。
  鰯雲そこまで行けば涼しいか
   もうそこまで秋がきているのでしょうが…。地上は「暑い!」
○何万の「頑張れ」夏の総選挙
   選挙の句として出色です。出来れば「幾万の」と。
   当選者も落選者も事務所にこの句を貼って欲しい!
   今回の政権交代。破れるべくして破れた自民党、不安だけれど…といいつつの票を得た民主党。
   「頑張れ」は国民それぞれの悲鳴でもありました。
○孫掴まり立ちの写真終戦日            萬坊
○昼寝児の夢はるかなり蒙古斑
○たたかれて切られて西瓜ごんごろり
   「ごんごろり」が右と左に分かれた西瓜の赤さを見せてくれます。
○縫物の手を止めぬ母終戦日           章司
   「止めぬ母」何を思っているのでしょう。
   ひたすらに手を動かしつつ、口には出したく無い記憶を手繰っているのでしょうか。
  玉音放送聴かで川瀬に魚追へり
  樹海に魂忘れし敗戦日               悠々
   「忘れておりぬ」「忘れきたりし」?