道場主今月の一言

握り拳と握手はできない。」
ガンジー
 

銀座俳句道場 道場試合第75回決着!!  

月の兼題は 「 蛍」、他、自由でした

 水不足、集中豪雨、それぞれのお見舞い申し上げます。
 今期の国会の最後を飾る?久間大臣の「しょうがない」発言、
  三日後の今日、辞任となりました。「申し訳けない」という
  被爆者や国民への謝罪よりも、「総理の足をひっぱらないために、
  イヤ、もうひっぱってるかな」なんていう発言での幕引き。最後まで
  解ってナイ!大臣でした。更に言えば自民党内の「参議院選挙を前に
  不適切な発言」という発言にも吐き気がしました。「選挙」前だろうと
  後だろうと関係なく、「不適切」な発言なのですから。更に言えば「言語同断」
  という言葉が自民党から出ることを期待したのですが…。
  という訳で、イカって血圧上がったのでしょうか(本来超低血圧)。
  何だかずんずん仕事がはかどった三日でした。
  おかげで、早々、選句が済みました。
 向暑くれぐれお大切に。(谷子)

  小さな子供たちが整列している様が活き活きと書かれています。
 「浜辺」「海開き」といささか重なりますが、かえって、なにやら
 海を前にした緊張と喜びにあふれた感じが強く伝わりました。 
出来れば「良い子」ではなく、「良き子」と。
 
    伸びやかな一句でした。広げた両手がまるで翼のように思われます。
   はるかな日の闇は、ことさらに濃く深く…。なればこそ、蛍火も更に
   美しく思われるのでしょう。眼前の蛍の火に思い重なる歳月。
 

【入 選】

蛍火やあの杜かげにかの聖堂      章司

 杜かげ」で、この聖堂がチャペルなどではなく、湯島聖堂などというものかと。
 聖堂からの蛍火のような思いが重なります。

パン黴びて所在なき日のひとり者      瞳夢

 同じ「黴」でも「パンの黴」ということで、「ひとり者」というよりも「所在なき日の」の方へ重点が移っています。そのことで、軽みがでました。

光りにも匂ひのありき蛍籠        有楽

 「蛍」の匂いを直接的に言わず、「光にも」と持っていった点お手柄でした。

 

   【投稿句】 (順不同・赤い字は選者添削、◎は入選)

落ち蛍思い直して飛びにけり          正巳
 遠望は紀ノ川あたり栗の花
   <紀ノ川は輝くあたり栗の花>
 塀越しにこぼれて散るや柿の花

遠き日や蛍の夜々の逢引も                  吐詩朗
    過去はみな美しく切なく…。
 鯉の口蓮の浮葉の間に集ふ
    <鯉の口蓮浮葉(はちすうきは)の間に集ふ>
うすものの句会の友の紅あはし

新樹濃しメトロ顔出す御茶ノ水         満子
  磴にしてどっぷり浸かる宮若葉

蛍火や手術日決まるとメール受く                亀山竜子
菖蒲園ゴム長靴の泥乾く

 対岸のほたる足下忘れさす           方江
蛍舞う村人だけの通り道
おおきいな源氏蛍と君の肩

幼くて蛍の闇を怖がる子            二穂
  風蘭の微かに香る夕べかな
狭庭には母の残せし鴨足草

ちよろづの恋の明滅蛍の樹                   章司
ぶだうの木々おりいぶの木々蛍の灯
    見事な景かと。

指先の蛍のにほひ茵まで(しとね)       萬坊    
のぞく吾が目のなかにをり熱帯魚

 小流れに灯りしばたく初蛍                   のぼる
緑立つ紙飛行機は風に乗り
 熱帯魚地下の喫茶を彩りて
    「彩りて」が再考のポイントです。

映画「眉山」 蛍の乱舞 懐かしく          河彦
きらめいて 木陰に子育ての 母五人
   若いお母さんたちの輝き、いいですねー。
   <夏木立子育て中の母五人>

「きらめきて」を削ることでかえって若い母親のキラキラした感じが
伝わるでしょう。
吹き抜ける 風を相手に 一人酒
    充足の一人酒。

 人生はおもろうて悲しき蛍の夜                       さかもとひろし
蛍狩り甘きも苦きも恋もどき
川面濃く友恋うている蛍の夜

木橋行く人影淡し雨蛍                薫子
トテ馬車の御者の茶髪や麦の秋
   現代の御者像。 
時刻違ふ3個の時計明け易し
   結構ですが、3個は「三個」と。

 鳴かぬ日も鳴く日もなくて蛍かな                      瞳夢
   「泣かぬ蛍が身を焦がす…」とは古謡にも。
初夏やジーンズ似合う孫となる

 明滅の ホタルに合わせ 首を振る                   花子
ホイッスル 鳴れば集まる 玉の汗
    「集まる」がなかなか面白いところです。
どくだみの 売られているに 驚きぬ 
   何もかにも「売られている」昨今ですね。
 母の日やアルバム広げひとりごと
風に乗り客間にふいと燕の子
問診の手話の手かろし風薫る
    
蛍狩り木道にある湿りかな              天花
半夏生金太郎飴の歪む顔
 赤冨士や水の美味しい処に住み
    <水美味き処に住みて夏の富士>でしょうか。

蛍雪の文字いつしか消えて失せ                      意久子
   <蛍雪の文字のいつしか>か<蛍雪の文字のいつしか消え失せて>かに。
   ただし、この一句、夏の句なのか、冬の句なのか…迷いますねー。

 蚊帳をつり蚊帳を繕ふ祖母とゐて
    「蚊帳をつり」「蚊帳を繕ふ」のどちらかに限定しましょう。
 梅雨晴間孫にハンバーグのメールかな
     「ハンバーグのメール」というのは、「今日のご馳走ははハンバーグだよ」というメールなのでしょうか?

飛ぶ螢母の化身か吾れの掌に             竹雄
  「魂かとぞ」とは古来からの蛍への思い。
  早乙女の姿なつかし機械植え
 鯖寿司をバッテラという母の味

 蛍舞ふ銀河鉄道見ゆるかな            明法
    <蛍狩銀河鉄道見ゆるかな>    
 

大器晩成となぐさめてをり蝉時雨
煙突の影地に灼ける蝉時雨

蛍を少女のように追いし母               山野いぶき
木漏れ日を浴びてぼうふらうれしそう
    素直な一句。この頃「ぼうふら」なかなか見ませんねー。
白南風や実家の二階でまどろめり

掬ひたる指透き通る夕蛍                          紫微
     ここまで美しく詠むならば、「透き通る」ではなく「透く」で書く工夫を。
明治帝祀る宮居や花菖蒲
日に映えて白帆のごとし水芭蕉

父祖の地やほうたるに魂(たま)あるらしき       洋光
あぢさゐの百態百色水を欲る
 噴く水の教へてくれぬ風の向き

眠ったら母が蛍を出してくれ                有楽
 消えたのはいくさの最中螢川
    「蛍川」が消えたのか、誰かが消えたのか?誰かを書いた方が、しっかりとした句になりましょう。

 ほたる宿青光群れて会議中                          みどり
   童画風なのでしょうが、「青光群れて」がその雰囲気を壊しています。
わが蛍こころに棲まわせて闇をゆく
 天目指しらせんに咲絹文字摺草

初蛍踵に微熱ひきずる夜                           弘子
 胸薄き少年は塾梅雨の月
    「少年は塾」が句を小さくしています。
    <少年の胸の薄さや梅雨の月>でしょう。

竿鳴らし帆になるシーツ青嵐

 一年を生きた証のほたるかな                         美原子
 髪洗う男の指に揉まれけり
      「揉まれけり」を再考。男性美容師でしょうか。<男の指に髪洗われて…>
草取りの生の葉重き二袋
    何だか、ずしりとした重さを感じさせるリアリティがあります。   

喧嘩して佇む先の蛍かな                            悠々

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