道場主今月の一言

(切字)「四十八文字いろは皆切字なり、用ゐざる時は一字も切字なり」 (芭蕉)

銀座俳句道場 道場試合第22回決着!!  

1月の兼題は 「初日」 「初詣」 「初春」 でした。

 北九州、立春翌日の昨夜から雪。
 目下静かに静かに降り積もっております。 
 パウエルさんの国連での演説を聴きつつ。
 戦争回避の道はないのでしょうか。    (谷子)

 

【入 選】

故郷の山顕ちにけり初日影     吐詩朗

片雲の像(かたち)ふれあふ四方の春  姥懐

ロボットの獅子が護符売る初詣   洋光
ひちりきの節裏返る初詣      瞳夢
老漁師湖の初日を熱く言う     陽湖
弟を望む絵馬あり初詣       美原子
夢見るに疲れて寝入る三日かな     あきのり

   【投稿句】 (順不同・赤い字は選者添削、◎は入選)

初春や笑ひに沸きし鍋の湯気     方江
          噴きし
 初詣 日差し柔らや雪も消え
初日の出 孫等たくましく見える朝

2003年明けるや雨ののびのびし    意久子
             のびのびと    
 石畳 休みつ上がる初詣
かって戦士 いま老兵の 初詣
新年の俳句手帳と歳時記と

氏神に人もまばらな初詣       正巳
  氏神の 
 故郷の変わらぬやまの初日の出
初春を祝う電話の孫の声

初春や娘二十才の紅を引く      よし子
人々の中に我あり初詣
 犬引きて散歩がてらに初日の出

 初日出 四○浴びれば定年す     宏志
     「四〇浴びれば」とは四十回、四十年ということでしょうか?
初春を貨物の空車に乗せてやる
   なかなか面白い発想です。
 雲上に初日出てより彼岸生く

 初春の 膳を供えて 背を正し    陽湖
 初詣 ならではの参道(みち)三姉弟

初春やソプラノの胸ふくよかに    小島弘子
 初日影梢は青し老公孫樹
初詣指より漏れるねがいごと

 初春のプーケ作る指しなやかに    高木みどり
初日浴び逢いたき人の名をうたう
                  唱う 
 初詣恩師の遺骨と対話する
       「遺骨」というのは、いささか強すぎませんか?

初春なれど 点滴の液を 見つめつつ   河彦    
  <初春や点滴の液見つめつつ> 
 初詣 世紀の始め はや遠く
初日の出 「晴子情歌」の 海近く

初日受け 山頂に立つ 鹿一頭    古井一歩
 駐車場 探して歩く 初詣
 旅の宿 初春の窓に 吹雪舞う
   <初春の吹雪みている旅の宿>  

故郷の初日を浴びて深呼吸      山野いぶき
初春や門前に猫迎えおり
 初春の風は冷たし職はなし
                    
初孫の 授かる兆し 初詣   姥懐  
 はつもうで 深雪に跡の 準ひて
立願を 両掌に余し 初詣
 初春の 妻の絞るや 生(き)雑巾

初春の賑々しさは雀まで            あきのり
      賑々しさの

万象が みがきぬかれて 初春来(く)   ふづき
 この使い方は間違いでしょうか。
  間違いとは言えませんが、「初春」の場合は、「初春や」というだけで、そのめでたさを言いとめた方がよろしいでしょう。 
 祈ること グロ−バルなり 初詣     
 初春や 笑顔つくりて 過ごしけり

 初春のリボンをほどくコウノトリ   さと子
初産の幸せ願ふ初詣   
 祖母山の乳溢れるかな初日の出                         
   「祖母山の乳」というのが、どういう状況を言うのか? 

初日の出海に棲むものみな起きよ   だりあ
 初春の落日を追ふ車なり

 賽銭の二枚目は十円初詣       城生子
 初日この泰然として自若なり
                  
 初春や大吉と出し若夫婦      洋光
 餌台に雀の祝り初日さし 
       「祝り」はふりと読むのでしたら、「り」は必要なし。
       この場合は、「神官」という意味の名詞になりましょうか。


初日待つ心に潮の満ちてくる      美沙
 初詣戦なき世という課題
初春の息吹き入れる銀の笛
初春や星を宿して大欅

初日の出小次郎の碑に佇む  清七
  <小次郎の碑に佇みて初日の出>
 初詣児ら階段昇り競う宇佐神社
 初春や湯宿に急ぐ別府路や

 たたなはる雲にはばかる初日かな    章司
 荒海のはてなる子らの今朝の春
御酒受くる干支盃や初詣
 ふぶけるを初詣かな戸締りす 
   <戸締りを確と吹雪の初詣>

笛の律わずかに乱れ初詣      倭文子      
           乱る
 初春の「千と千尋」のワルツ浴ぶ
 柱無き部屋を茜に初日かな     
               
 初空や 大師本堂 除ける雲    もとこ
 惚け封じ 飴を頼りの 初大師     
手枕で 見し初夢の 大いなる      
             
初日射す厨に白き布巾かな          幼月
 初春の法螺貝の音聞きとめし
神酒受くる背筋を凛と初詣
            
 初春や始めの一歩ウォーキング  とみい
人込も霊験なるや初詣
 初日の出一期一会のはじめなる

 初春や電話の声のなつかしき     竹雄
待っている善男善女の初日の出
 初詣二礼二拍手あたり籤                        

 初日浴ぶ 驕れる我は 砂のごと    花子
ケセラセラ 歌ふ受験子 初詣で
初詣 巫女も買いたる 縁守り
                       
 初春や裸婦像しかと子を抱く      吐詩朗
 はたと遇ひ無事をたしかむ初詣
   <会遇に無事確かめし初詣>  

静かな どよめき 北の原野に初日のぼる  泥臥
  <静かなどよめき北の原野に昇る初日>
飢えの子等 戦場の子等に 年新らし
  <飢えの子等戦場の子等年新た>
 平和ボケなれど 祈れり 戦なき世を
                          

 犬吠岬の光芒四方に初日の出         瞳夢
 はつはるの便りはクィズ一日果つ 

 宵寝して顔も洗わず初詣          中土手
護送中護送され中寒の月     
初日の出私淑するひとみな若き  

 湧き水に拝す人有り初詣     美原子
 初春に飛行機雲の一本線

 初日さす 祈りて走る 未知の道   悠々
   「さす」「祈りて走る」動詞が多すぎます。「未知の道」もいささか、推敲不足。
  
 <未知なる今日未知なる今年初日差す>
摂氏四度初日あまねくさしにけり

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