銀座俳句道場 道場試合第11回決着!!  

2月の兼題は 「冬深し」「雪」「風邪」 でした。

 あたたかくなりました。
 すさまじいスケジュールの中、今日はぽこっと空いた時間に選が出来ました。

 寒さの中、元気に幸せな暮らしが見えます。「ははははふふふ」は
 夫唱婦随、「はははふふふふ」は婦唱夫婦?なんて、つい考えたりして‥。

 冬深く籠り居の中で、絵の具を溶く。それも萌黄色を。
 絵皿に広がるその色は、作者の春待ちの思い。

 何ということを書いているのでもない。しかし「父親の足跡たどる」は、
 父親への信頼と、その人へ繋がり、引き継ぐ思いなのである。

【入 選】

 和菓子舗の引き戸軋めり雪催い    小島弘子
  父母語る 死の床の姑 冬深し       陽湖 
  鳥の居る川にも雪の降りしきる      よし子   
 風邪男雲貫き通すせき二つ      坂元宏志
 雪は降るアダモの声と生きてきて     河彦 
 風邪ですか電話の声の和らぎぬ   高木みどり

   【投稿句】 (順不同・赤い字は選者添削、◎は入選)

介護婦の去りにし厨冬ふかし      清七
     去りたる   ※介護の人が去った後の不安感が惻々と伝わります。
 腰痛の姉病窓や今朝の雪
 風邪流行りワクチンありと主医メール
冬ふかし介護する人される人
 今朝のラバ雪化粧する桜島
 風邪流行るワクチありと主医メール
 
 沈黙の大樹に問えど冬深し       松村 竹雄
 日めくりのそのままにある妻の風邪
駅前に箱根は雪と文字流る
  箱根は雪と駅前の電光板

 雪重し 森羅万象 沈黙す         蒼流
 雪舞いて ダッフルエリ巻き 女学生
衣脱ぎ 木立ち骨格 冬深し
  骨格の顕わに並び冬木立

この期にも優柔不断春の雪         ちあん
 ふらふらとふらふらふらと風邪ごこち

 ゆらりゆら夢海鼠(ゆめなまこ)となる風邪の午後 美沙
みちのくは遠し心の雪うざぎ
 雪晴れや母さんラガーと子の試合
汚れた雪現し世小説より奇なる

 餌を求む猪の声遠く冬深し          さと子
  猪も冬深しも季語。    ※餌を求む猪の声遠ざかる
風花に見とれし子等は卒業試験
  卒業試験も風花も季語ですがこの句では可。 
  ※風花に見とれ卒業試験終ゆ

 木漏れ日にはらはら落ちるしずり雪

 長電話切れずに 風邪がぶり返し        美原子
畳替えのむき出しの室 冬深し
 重すぎる 雪を落として 木がはねる

冬深し 骨格さらす プラタナス         大根の花 
 初雪の感激うすれ 歳(とし)さびし
 風邪のあと やせたかしらと 妻たずね
  仲のよきことは想像できますが、川柳

 冬深しブルカ(アフガン女性の被り物)脱ぎ捨て大学受験   堀 裕子
 ソルトレークの雪に 汗と涙の結晶を見る
  時事俳句はなかなか手強いのです
 ハックション 風邪よりつらい花粉症
  俳諧の諧は滑稽という意味ですから、一概に面白さがいけないというの
  ではありませんが、俳句というより川柳でしょう


信州のごちそうは温泉(おゆ)と雪景色    陽湖
           (ゆ)  
実家(さと)遠く 風邪に寝た日の 優し亡姑

 凛と咲く 白梅の香 冬深し         古井一歩
 冠雪の 浅間の雄姿に ひとめぼれ
           見ほれいる  ※言葉の持つ力や格を考えて。
 ものうれず デフレ対策 冬深し

手の平に湯呑みの温み風邪病む日       よし子
友逝きし報あり冬の深きかな

 大クシャミひとつ風邪女誕生す        坂元宏志
雲が家来 九重連山 雪化粧

冬深し 吾が故郷(ふるさと)の 雪印    沙羅双樹
                「雪印」と。辛いですねー。
                               
 降る雪に 恋の思いを 重ねつつ        河彦
冬深し 駅の別れに 身を縮め

二時間目の校舎深まりゆく冬          青木佳之
  冬深みゆく二時間目の校舎  
 風邪の子やかそけくママと手を伸ばし      

冬深し救急病棟終夜燈            小島弘子
 ドロップス一つ放り上げ風邪の床
  ドロップスの赤き一粒風邪の床

借金の あてなく歩く 冬深し        高木みどり
 粉雪飛ぶ つぎ当てたのし 湯気をたて

 冬深しソプラノしみる椿姫          悠々
 雪よ雪とけて黒きは外務省

 

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