布団にもぐりこんだヘビの夢
| 新山 恭子 |
21世紀には、今まだにない超高齢化社会が到来すると言われています。その中で問題になるのは老後の"長い"人生をいかに充実させていくかということ。さて、今回、67歳の女性の夢に登場したのはヘビです。大きなヘビが積んである布団の中にもぐり込みます。老後を迎えたこの女性にヘビはどんなメッセージを送っているのでしょうか。
今回の夢相談は静岡・富士市のT・Mさん、女性。会社員、67歳です。
- Mさん :『夢の中に大きなヘビが出てきました。色はラクダ色より薄い白に近い色です。私はヘビが嫌いです。夢の中で枕(まくら)元にその大蛇がいてびっくりし手で「シッシッ」と追いやりました。ヘビは少し動いて積んである夜具の下に入り込んでしまいました。』
- 新山さん:『ヘビは夢によく登場する生物の一つです。むかしから家の守り神とか、霊的なイメージとしてとらえられるようです。また、ギリシャ神話でもよくヘビはテーマになっています。一方、実際ノヘビには、かみついたり、毒を持っていたり、獲物をひと飲みしてしまう、といったイメージあります。よくも悪くも、大きなエネルギーを表す生物と考えられます。ヘビの中でも、T・Mさんの夢の出てきたのは「大蛇」で、これは相当大きなパワーを表しています。積んである夜具の下に、大蛇が入り込んでいます。夜具は、寝ている時に使う物で、意識が動いていない状態を表していて、T・Mさんの意識下に大きなパワーを持つヘビが潜んでいると、とらえてよいでしょう。』
- Mさん :『中年以降、特に男性より女性の方がヘビの夢をよく見る傾向があるのですか。』
- 新山さん:『そうですね。男性中心の社会が続いてきて、T ・Mさんの年代の女性は、男性の"サブ"として生きることをしいられる時代を過ごしてきています。娘、妻、母という役割を、十分生きれば生きるほど、自分らしい生き方を選ぶのは難しかった時代です。自分のやりたいこと、言いたいことを後まわしにしていくうちに、自分らしさは無意識の領域に追いやられます。なんとなく気が付かないうちに小さな不満がたまり、それを現実で表現できないと、夢の中に「大蛇」という形で現れてくる訳です。縁起が良いとか、悪いではなく、やりのこしているものがあるとヘビは伝えているのです。』
- Mさん :『なるほど、思いあたるふしがあります』
- 新山さん:『子育てなどの役割を終えたいま、自分が人生の主人公になっていなかったもろもろのことを拾い上げていくとよいでしょう。おしゃれをする、旅行に行くなど楽しいと思われることを体験して行くと、知らずにためていたストレスがスムーズによいパワーとして流れ始め、思いもかけない自分を発見するかもしれません。最初から自分のやりたいことは案外分からないものです。やってみてダメだと思ったらやめる、またやりたくなったらやってみるという"ダメもと"の気持ちで、一見無駄に思える作業を繰り返していくと、ようやく自分の行きたい方向が分かってきます。バランスのよいその人らしい自然体は、不自然と思われる状態に身を置くトレーニングをすると身に着いてきます。「オヤッ」「アラッ」といった日常の中で感じる内なる声をつかんで実際に行動を起こすと、「しがらみ」が「つながり」に変化し、より豊かな人生を手に入られるでしょう。』
★新山 恭子(にいやま・きょうこ)1948年(昭23)12月21日、東京都生まれ。東亜国内航空(現JAS)客室乗務員として勤務した後、秋山さと子氏に師事しユング心理学を研究。現在は産能大学経営開発本委嘱講師を務めるかたわら、ドリームコンサルタントとして講演、研修などで活躍。ラジオ日本「新山恭子のドリームトーク〜夢はあなたへのメッセージ〜」(日曜後5:35)のパーソナリティーとして出演。
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