付録

APPLET is here!


  阪神タイガースの野球を愛して
牧念人 悠々

 1925年、大阪生まれ。小学校一年生まで大阪ですごした。あとは中学生までハルピン、大連で育つ。ふるさとは大阪しかない。少年のごろがから野球好きで、ポジションはショート。いつのころから阪神ファンとなる。阪神が勝つと朝食がとりわけおいしくたべられる。負けると、口が重たくなる。

 スポニチに連載中の阿久悠さんの「球心蔵」を毎朝、むさぼり読んでいる。

 4月22日付「球心蔵」に実にいいことが書いてあった。岡安良雄監督が各選手へ出された新年の手紙の内容は、ファンである私の気持ちを代弁するものであった。

 ――たぶん、諸君は野球を愛している。しかし、今年に限っては、阪神タイガースを愛してほしい。野球を愛するなら、阪神タイガースの野球を愛してほしい。

 そして、今年を、野球人生の最後と思ってほしい。縦縞のユニホームが来年も縦縞であり得るか、それは諸君の情熱にかかっていると考えてほしい。略――

 なおも激文がつづく。一員である誇り。我々が勝てば世は明るくなる。ともに夢をみよう。

 阿久悠が熱烈な阪神タイガースファンとは聞いていたが、こんな熱い思いで小説に託して、自分のファンたる心情を吐露しようとは思いもよらなかった。

 阪神タイガースが負けたとき、人間の本性が出る。野球を愛し、タイガースの野球を愛するなら、選手たちに向けられる言葉は、はげしくとも、ぬくもりがあり、はげましがあり、思いやりがなくてはならない。

 阪神の選手たちはファンのみえないところで、それぞれに血のにじむような稽古をしている。その片鱗が、シーズン当初からはっきり出ていると熱烈なるファンの一人である私は確信している。

 今年こそと、阪神タイガース優勝への期待はつのるばかりである。

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