月刊「文芸春秋」は3月特別号で神戸連続児童殺傷事件の真実に迫る衝撃の証言として「少年A犯罪の全貌」を掲載した。
内容は供述調書7通と評論家立花隆さんの供述調書を読んでの評論、参考として「少年の処分決定要旨」(平成9年10月17日付神戸家裁公表)も載せられている。
7通の供述調書を読んでの感想を述べる。B少年に対する殺害の仕方は残忍である。知人の女性はその先を読むのをやめたというほどである。首の処理方法をみても、正常とは思えない。
少年は切り落した首を家に持ちかえり、風呂場できれいに洗っている。タオルで顔や頭の毛の先を拭いている。また髪の毛を洗面所にあったクシかブラシでとかしている。そのあと自分の部屋の天井にかくした。部屋の片隅の天井板は、自由に動き、その天井板を動かして、ビニール袋に入れた首をかくしたのである。
酷な言い方だが、両親は日ごろからよくA少年を観察すべきだったと思う。首を洗い、血を流したあとの風呂場は、本当に何の変化もなかったのか、使用されたタオル、クシあるいはブラシには異臭はしなかったのか。少年の体は? 少年の部屋は?
少年が寝ている間に家を出る両親であれば、少年の顔色、態度などをよく見るべきではないのか。凶器に使った糸ノコギリと南京錠を近くの店から万引きしている。万引きは小学校6年生の時にも仲間たちと同じ店でしている。少年の持物にも何らの注意を払わなかったのか。
事件当日の夜(平成9年5月24日午後6時すぎ)母親と次の会話をかわしている。
B君が、何かおらんようになったみたいよと言いました。僕はB君を殺して来た等とは言えないので、お母さんには
ふう〜ん
と返事をしました。
この日、少年はそのまま2階に上がり疲れていたので夕食もとらず、そのまま寝てしまったようである。
朝は自分でパンを焼いて食べる食生活をみると、母親は子供の食事について無関心だったとみるほかない。
食事は思春期の少年に体にも精神にも影響を与える。手を抜いてはいけない。多くの仕事を持つ母親たちは家事労働に耐えながら頑張っている昨今、私はこの供述調書をぜひとも親たちに読ませたい。2度とこのような事件がおきないためである。
いまの親のありようは、少年法のワクを守っていては、犯罪の再犯を防げない。