ビックリニッポン日記 (26)

目黒 ゴン太

 今の日本において、情報の多くがメディアを通じて得るものが大変多い。それらの中から服や言葉、食べ物に至るまでの「流行り」が生まれてくる。私を含めてではあるが、この国の人々は「流行り」物にとても敏感である。これに関して良し悪しは定かでない。しかし、「流行り」物好き的傾向が、私達の「持つべき問題に対する意識」にまで浸透しているとなると、考えものである。

 例を最近のもので挙げると、薬害エイズの問題、阪神大震災の被害者に対する制度の問題等があると思う。どちらもメディアが大々的に扱っていた時には、私達の間でもとても高い関心をこれらに寄せていた。しかし、実際、私の中でそうであった様に、これらに対しての問題意識は、メディアの扱い方の縮小と共に、徐々に風化していってしまっていると思う。丁度、ルーズソックスが廃れていく感じである。言うまでもないが、上の二つの問題は、被害者、問題を抱えている人がいる限り、決して終わることのないものである。阪神大震災の件で言えば、やっと行政が、災害被災者個人に対しての公費による援助を行うよう動き始めた段階で、しかもこれは緊急時における一時的なもので、生活再建の為には、別の制度が必要であるとした市民の訴えは届いていない状態である。こうした行政側の対応の甘さについては、メディアも単発的に扱ってはいるが、以前より数段関心度が落ちている私達の間には、いまいち現状が伝わりにくくなっている。

 日々様々な事件、問題が生まれている中で、発信源であるメディアの扱い方を当時と同等にするのは無理があるだろう。しかし、私達国民が、これらを「流行り」で把えることなく、しっかりと事の行先を見据えて行くようにすれば、行政の対応の促進へと継がってゆくのであろう。


                

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