銀座一丁目新聞

花ある風景(669)

並木 徹

「若葉風二世も加へ同期会」(荒木盛雄)

陸士59期生会が初めて2世会の世話で開かれた(5月20日・東京九段・偕行社)、企画。式次第、司会、受け付けなどすべて2世会が担当した。参加者同期生32名、夫人6名、2世10名、賛助会員1名合計49名であった。これまでといささか雰囲気が違ったがそれなりに十分楽しかった。

「薫風や存へ迎ふ卒寿の宴」(荒木盛雄)

同期生は首都圏が中心だが北海道から野俣明君(船舶)、仙台から湯沢典男君(通信)がそれぞれ出席した。権現山碑前祭(4月29日)で初めてお目にかかった鈴紀靖子さん(船舶・鈴紀俊行君夫人)も群馬から上京、姿を見せた。鈴紀さんを予科で一緒であった田中長君(航空司偵)を紹介した。司会は伊藤真利さん(野砲・渡辺寿夫君長女、航空整備・小野口雅文君の姪)。音楽は尾崎音楽工房が担当。君が代斉唱、黙祷、59期生会旗を西村博君(歩兵)から2世会へ授与。2世会の世話役神保明生君(野砲・小高貞三郎君の甥)の挨拶のあと会食、懇談した。会場に設けられたテーブルは9。それぞれに思い出話に雑談の花が咲く。正面では19年前に開かれた「千葉全国大会」と「陸軍士官学校…昭和12年53期生」の映画が映しだされる。懐かしさがこみ上げる。

「映像に青春偲ぶ街薄暑」(荒木盛雄)

丸尾勲君(航空戦闘)と古屋康雄君(航空爆撃)のハーモニカの伴奏で「茶摘み」(作詞・作曲文部省唱歌)など8曲の童謡を歌う。「軍歌演習」で真っ先に飛び出したのが松元五郎君(航空司偵)。たからかに「群青」(作詞・作曲・谷村新司)を伴奏にかまわずに、歌いあげる。初めて歌った時、涙が出たという。賛助会員の石上豊さんが「歩兵の歌」(作詞・加藤明勝・作曲・永井建子)を歌う。今年の特攻記念祭で野俣君と意気投合したという。丸尾勲君が「星落秋風五丈原」(歌・土井晩翠)。北俊男君(歩兵)が十八番の「戦友」(歌・真下飛泉・曲・三善和気)をいつもように14番まで歌う。

謡曲「養老」を別所末一君(航空戦闘)と荒木盛雄君(船舶)が謡う。後刻、別所君に聞いた説明によればその昔、美濃の国、本巣の郡に不思議な泉が湧く。滝の水を老親が飲んだところ心身ともに爽快になり活力にあふれたので、「養老の滝」と名付けたという。謡はその奥が深い。全員で写真撮影をして解散した。カメラマンは霜田昭治君(歩兵)であった。この日、養老の水は偕行社近くのコーヒー店で別所君、荒木君、霜田君、半田精三君(経理学校)の5人で飲んだコーヒーであった。