銀座一丁目新聞

追悼録(660)

柳路夫

夢物語「砂漠にさ迷う」

二日続けて砂漠にさ迷う夢を見た。どこに向かっていけばいいかわからない。おそらくゴビ砂漠であろうか。ゴビ砂漠はジンギスカン率いるモンゴル軍が馬で駆け抜けたところである。横綱日馬富士の暴行事件で揺れる大相撲のことが頭のどこかにあるせいであろう。1月場所はすでに始まった。ゴビの意味は「草の生育が悪い土地」である。夢が伝えるメッセージは大相撲の人気は衰えてゆくと示しているのであろうか。
それとも童謡「月の砂漠」のように「月の砂漠を はるばる 旅のらくだが 行きました…」
のようにロマンチックにいくのを示しているのであろうか。1月場所は「満員御礼」の垂れ幕が下がり続けた。

ゴビ砂漠ではなくタクラマカン砂漠かもしれない。この砂漠はシルクロードのルートである。「一帯一路」を唱え「中華民族の偉大なる復興」を掲げ、拡大路線の中国が念頭にあったのであろう。タクラマカンの意味は「迷い込むと出られない」である。夢のメッセージは習近平の人気はそれほど高くなく、中国が破滅に向かっているのを示す。共産党政権の寿命もそろそろ尽きる時期に来ている。最近、読んだ矢板明夫著「習近平の悲劇」(産経新聞出版)が影響しているのかもしれない。

夢の中では私は考えた末、進路を左方向にとった。理由はない。昔軍の学校では「決心」と問われたら「攻撃」「重点は左翼」と教えられたからである。夢の私へのメッセージは砂漠と云えば、気候が乾燥、植物が成育しないところだ。ということは健康に注意し食べ物に気をつけよということを示す。正月早々腹をこわし、風邪気味である。これは当たっている。心理学者ユングは「夢は何らかのメッセージがある」と夢を大切にした。毎日のように夢を見るが朝起きてみると、ほとんど覚えていない

「初夢や砂漠に迷う翁かな」悠々。

ちなみに「月の砂漠」の作詩は加藤まさを(正男)である。藤枝市の出身。幼い頃から絵や歌が好きで学生時代から詩や童謡、画を発表。大正8年には、『アンデルセン童話』・『花の精』などの絵はがきを出した。大正末期から昭和初期にその抒情詩や抒情画は、『少女倶楽部』・『少年倶楽部』・『少女画報』などの雑誌で発表され、読者の共感を呼んだ。昭和52年(1977)11月1日、千葉県御宿町で死去、享年80歳であった。

「初夢や月の砂漠に地理学ぶ」悠々