銀座一丁目新聞

茶説

安倍政権は死に体である

 牧念人 悠々

今の日本の政治状況は危機状態にある。今後の安倍政権の運営は謙虚であらねばならない。7月2日東京都議会議員選挙で自民党が歴史的敗北を喫し安倍晋三首相にレッドカードを示したからだ。敗因は都議会議員選挙と言いながら総べた安倍首相にある。それを本人が分かっていないから悲劇的ですらある。本来、地方選挙は国政とは無関係である。都議会議員選挙とて同じことである。ところが今回だけは違う。自民党の都議会議員57名が一挙に23名に転落したのはいつに安倍晋三首相に直接関係する。

その一つが学校法人加計学園の獣医学部新設問題である。特区事業と言いながら親しい友人に認可したことだ。お金のやりとりがなくても友人に利益を与えたことが問題なのだ。庶民は「おかしい」と思う。他人であれば何の問題も起こらない。友人にしても「君が総理の在任中は遠慮しておくよ」というのが親友のありかたであろう。

次が森友学園問題。首相夫人が名誉校長になったことが最大のミス。首相在任中、夫人は自粛した方がよい。万事に「広告塔」に利用される。「治国平天下」は「斉家」をはじめとする。家を整えずして国家を論じる資格がない。さらに言えば、人を見よ。権力には様々な人が接近してくる。自分の仕事に利用するためだ。顔相を見れば一目瞭然であるはずである。

次が11日から施行される「共謀罪」である。テロ防止対策にはならない。いたずらに罪人を作り出すだけである。この法律は一般人の人権と自由を束縛する何物でもない。庶民は危険を察知した。戦後72年、民主主義国家として歩んできた日本としては恥ずかしい法律である。今後支持率はどんどん下がるであろう。

最期に伝える。アラン(本名エミール・オーギュースト・シャルチェ・1868-1951)の言葉「万人が勉強すべきこと、それは幾何学とラテン語」。その言わんとすることは自然科学を学び合理的な思考と推論を積み重ねて帰結を導く出す態度を養うことである。さらに人間としての感情や情緒においてあたたかく豊かでなくてはならないという意味であ(加藤邦宏著「アランの言葉」PHP研究所)。私に言わせると、数学と「源氏物語」を勉強せよということになる。この事態になっても党内で議論が起きないのはおかしい。一人石破茂元幹事長だけが警鐘を鳴らしている体たらくでは先が思いやられる。内閣改造をしても成果を上げることは出来ないだろう。