銀座一丁目新聞

安全地帯(517)

湘南 次郎

素人のひとりごと

ものには順序がある。豊洲市場を建ててから仕事場が狭すぎて庖丁が使えずマグロが解体できない。学校を造ったら教室が狭いのと同じことだ。設計を注文する人、される人、充分の打ち合わせが現場の人を交えてされていたのか?「絵に描いた餅」を考えていたのか?大枠のマスタープランなら結構だが、実際の設計だったら魚市場なら仕事場の広さを考えてから、学校なら生徒が学ぶ教室の面積が基本だろう。でき上がってから気が付くのは、嫁さんもらって「シマッタ」と同じだ。まして尊い血税を使って、なんとする。忙しいのかメクラバン。役人ともなれば難しい選抜試験に合格したエリートたちだが親方日の丸の集団だ。ペーパー試験と実務はだいぶ違う。かく言う老生は神奈川県在住者であるが、いささか都税も納めているので、高みの見物とは言いがたい。

あの広大な建物を解体するとか、現在の築地を建て替えするとか、それこそ膨大な費用がかかって無理だろう。いままでの建設、盛り土の経緯に関わる役人や設計者の問題で犯人探しは特別委員会でやればいい。そればかりにかかっていたらほかの大事なことが進まないだろう。オリンピックとともに報道も都民も今は関心を持ち過ぎではないか。もうウンザリだ。

あまり報道されぬが11月に引っ越しを考えていた会社や仲卸をはじめ商店の物心両面の被害を考えて見たらお気の毒で言葉もない。一刻も早く移転できるよう、欠点ばかりを取り上げないで、造ってしまったのだから、ここは嫌みばかり言っていないであきらめるより仕方がない。もう少し発想をいい方に転換して、有効な利用を考えて見たらどうだろうか。もっともこれだけでも相当の費用がかかるが、今となっては、改修工事をしなければ世間の納得は収まらぬだろう。築地や豊洲の建て替えよりはいいのではないか。事は急を要する。以下素人なりに考えて見たのをご笑覧ください。

  1. 盛り土がガランドの空気になっただけ、しかも堅牢な地下室にしてかえって耐震性が良くなったのではないか。
  2. たまった水はアルカリ性だったと。当たり前だ。セメントで固めた池の水へあく抜きしないですぐ金魚は入れないだろう。セメントはアルカリ性だ。笑止にもわざわざリトマス試験で測ったのがテレビに出ていた。こうなると、坊主憎けりゃ袈裟まで憎いだ。
  3. 写真によれば地下室はたくさんの設備の配管が露出しているが、市場の喧噪、混雑の通路や仕事場の天井や地中埋設で配管するより保守点検がかえって便利になったのではないか。
  4. ベンゼンや水銀のガス、悪い水がたまるなら浄化装置を付けて排気、排水すればよいのではないか。食品を扱うと言っていたら都心の地下繁華街、大きいビルの地下室など、測ったらどんなことになるのか知りたい。
  5. 費用はかかっても湧水なら所用箇所に防水工事をし、雨水など上部からの侵入には防護の覆いを造ればいいだろう。
  6. 洗浄用の地下水に問題があるなら浄化装置か浄水場を地下室に設置したらいかがか。浄水池ともなれば防火用水にもなるだろう。
  7. 本来の考え通り地下室の空地は運搬用の小車・自転車・バイク等の駐車場などに有効利用できる。
  8. スロープの出入り口もあるそうで、地下に常時長時間いるとか、住居があるのではないから排気及び浄化の処置さえすればいいのではないか。食品はさておき、溜まった水やガスがそんなに地上にひどい影響があるのか。以前あったガス会社のひとたちは皆、防毒マスクや衣服でも着けていたのか?

老生の住む分譲地の一角に、K市の汚水を全部処理する100m四方ぐらいの高い煙突のある地下汚水処理場がある。豊洲市場と比較するのもヘンだが、ここの地下は殆ど処理場、地上は半分が事務棟・ホール、半分の50m四方が駐車場と土の運動場になっていて各種のリクリエーションなどに利用され、子どもたちが喜々とあそんでいる。周囲は一面が山のほか、三面はびっしり住宅と小学校だ。汚水は臭気も完全に処理され、浄水は幅10mぐらいの川となって約300m下流の海に常時放流、排気は煙突で放出されている。その海はサーフィン、ヨットのメッカとしても有名で江の島オリンピック会場にも近く、シラス漁としても有名だ。海岸は多数の人々が訪れている景勝の地だ。豊洲も余り神経質に騒がず、英知を集め早く有効な手段を考え、解決するのを期待している。