銀座一丁目新聞

安全地帯(495)

信濃太郎

森伊蔵さんを知っていますか

落語歳時記「らくごよみ」(朝日文庫)を読んでいたら「ネットで1升百万円の森伊蔵を発見したことがありました」と出てきた。「森伊蔵」がわからない。「広辞苑で調べてみると「森有礼」「森鴎外」があるが「森伊蔵」はなかった。そこでパソコンで調べてみるとなんと鹿児島産のイモ焼酎であった。
こんなエピソードまで紹介されていた。『元プロ野球選手の木村一喜(広島→楽天)は、広島時代の2005年の春季キャンプで、山本浩二監督が愛飲していた焼酎・森伊蔵を盗み飲みしたのがバレ、罰としてヘルメットと背中に「森伊蔵を飲んだのは私です」の張り紙を張られた。後日、森伊蔵酒造から森伊蔵1本をプレゼントされた。そのお返しに木村が広島グッズをプレゼントした』と言う。
木村選手はキャッチャー。広島の正捕手にはなれなかった。勝負強い打撃が有名であった。盗み飲みした時は28歳。単に監督の焼酎の盗み飲みで良かった。

巨人軍の賭博事件は遺憾であった。有望な選手が脱落してゆくのは忍び難い。高木京介投手(26)にはその感を深くする。昨年の成績は33戦に登板、防御率2・20。2012年から昨年まで139戦、無敗の成績である。賭博の期間は1昨年の4月からの1ヶ月,対象試合が8試合から9試合、金額は50万円から60万円。友人から誘われたという。年俸2800万円。何に不満があるというのか。「カジノには長居するな。楽して儲けた金の溢れる場所には必ず世界地中の悪漢が集まる」と言う諺がある。賭博がやりたければ天下公認の中央競馬をお勧めする。お知恵を授けよう。高木投手なら馬券は背番号の「28」にちなんで「2-8の馬連一点だけを買えばよい。まず当たらないであろうが、一時“万馬券の夢”が見られる。ばくちはあくまでも楽しんでやるものである。

それにしても賭け事に目くじらを立てすぎる。世の中紳士で礼儀正しい人ばかりのようである。この人生は賭けである。この哲理がわからないようである。賭けはすべて悪いものと思っている節がある。新聞が大きく取り上げた巨人軍の選手が自分たちの試合をかけた「声掛け金銭授受」ぐらいは大目にみてやれ。その後、阪神・西武・ソフトバンクも同様なことをしていた。これらの事を非難する人たちは自分が「そんなに聖人君子なのか」反省してみろ。私が毎日新聞にいたところ、ほかの部で春の選抜高校野球の優勝高校は「どこの高校かで賭けをしていた。ある年には一人だけあて“ウン十万”というお金をせしめた記者がいた。それでもみんな『家庭を顧みず寝食を忘れて』よく働いたものだ。時代がぎすぎすしだした。あまり長生きするものではないのかもしれない。