銀座一丁目新聞

茶説

中国のGDP減速の意味するもの

 牧念人 悠々

中国の昨年のGDP6.9%。目標の7%に達しなかった。日本の経済学者は実際のGDPはこれ以下とみるのが常識だという。日本のGDP(500兆円)の半分ぐらい水増しされているという指摘もある。実際のGDPは4%台ではないか。この数字が何を意味するのか…率直に言えば、中国共産党政権崩壊の始まりとみる。それが端的に表れた数字と思う。これまでの投資主導から個人消費主導成長への経済構造を変えるというが、そのためには共産党独裁政権自体を変えなくては実現しない。当分、中国の株価は乱高下を繰り返す。人民元の切り替えも行われる。「経済は生き物」その国の実態をそのまま表す。以上のような趣旨の事を我がブログに書いた。

GDPは「国内総生産」と訳され国の経済の大きさを測る指標である。日本の場合半分以上が家計の消費である。それに次ぐのが設備投資である。だから日本では給料を上げて消費を進めなくてはGDPが大きくならない。民間の設備投資も大いにやっていただかないとだめなのだ。ところが中国は「開発独裁路線」である。住宅投資・社会インフラ投資が6割を超えている。しかも新幹線、空港、高速道路、地下鉄などコストを無視して作り、客の利便性を考えていないからいずれも赤字続きである。GDPを押し上げる「消費」につながっていない。鉄鋼、造船、重化学、石油関連などの国有企業では設備投資が行き過ぎて過剰となっている。これからGDPは下がる一方である。貧富の格差が広がり、国営企業の経営不振から発生する失業者らの不満が増大、各地で暴動が起きていると伝えられている。これらを裁くには硬直した一党独裁体制では無理な話だ。「個人消費主導成長」への経済構造変換には「民主化」が不可欠である。政治的なこととはいえ、香港での雨傘デモ。台湾の新進党祭英文主席の総統選挙での圧倒的勝利を見ても国民がいかに「独裁」でなく「民主化」を求めているか理解できるであろう。

中国は今から24年も前の1992年。共産党政権誕生以来39年目である。旧ソ連や東欧に幹部を派遣して共産党体制が崩壊した原因を調査した。その結果体制維持のためには「党への高い忠誠心が必要」と言う結論になった。そこで登場したのが元副首相を父に持つ習近平主席であったという。どうであろう。ソ連が崩壊したのは「党への忠誠心」ではなく、浸透してきた民主化の波に巻き込まれ、結党70年で共産党政権に金属疲労を起こしたからではないか。時代の流れの方が大きいと思う。とすれば中国共産党の寿命はあと7年である。GDPの成長の減速は「開発独裁路線」の否定を意味し「民主化路線」への道を示すのは明瞭である。