銀座一丁目新聞

茶説

テログループが化学物質を使用の恐れ

 牧念人 悠々

テログループによる自由諸国への戦いは次第にエスカレートする。フランスの原子力空母がISの拠点イラク領空爆した(11月24日)のをはじめ有志連合57ヶ国がISへの空爆強化を決め、断固たる意思を示す。テログループ今度は化学物質によるテロを行う可能性がでてきた。パリ同時多発テロで実行犯がベルギーの拠点にしていた地区から化学物質が見つかったからである(11月23日スポニチ)。

平成7年3月20日東京の地下鉄で起きたサリン事件を想起してみるがいい。この時、地下鉄にばらまかれたサリンで13名が死亡、6000人が負傷を負った(実行犯は送迎を含めた11人すべて逮捕)。それでも日本人にはサリンの恐ろしさが分かっていない。当時、サリンをまいた「オウム真会理教」に対して「破壊活動防止法」による解散命令を出さず「要観察団体」とした。アメリカは「過激派組織」に指名した。この処分を未だに解いていない。中国はこの事件を「限定戦争」と規定し、これから起こり得る戦争の一つ型とみた。20年も前の分析である。ここで一つのエピソードを紹介しておく。サリン事件の際、地下鉄車内のサリンを駆除、清掃したのは自衛隊化学学校の防疫班であった。最後に完全に駆除したかどうかを確認するためには防護手袋を脱いで素手でやるほかない。残っておればサリンに汚染される。それを確認したのは任務に忠実な防疫班班長であった。

現在世界にサリンの量がどれほどあるのか詳らかでないが、ソ連崩壊時,ソ連の科学研究機関から大量の生物化学物質が北朝鮮に研究員とともに流出したと伝えられる。多分に北朝鮮が製造・所持しているものとみてよい。また、イラン・イラク戦争時、イラク軍はイラン軍および自国のクルド人に対し、サリンを使用している。テログループがサリンなど生物化学物資を手に入れたとしても何ら不思議ではない。今回、ベルギーのアジトから化学物質が発見されたのは我々に暗い予感を与えずにはおかない。