銀座一丁目新聞

茶説

自衛隊を理解しよう

 市ヶ谷一郎

公務員の「服務の宣誓」をインターネットで調べると、公務員でも多少職務により違いがある。抜粋して比較し見よう。
職員(一般的国家公務員)――
不偏不党かつ公正に職務の遂行にあたることをかたく誓います。
警察職員――
何ものにもとらわれず、何ものをも恐れず、何ものをも憎まず良心のみに従い、不偏不党且つ公平中正に警察職務の遂行に当たることを固く誓います。
消防職員――
全体の奉仕者として誠実かつ公正に消防職務の崇高にあたることを固く誓います。
自衛隊
隊員――
強い責任感をもって職務の遂行にあたり、事に望んでは危険を顧みず、身をもって責務の完遂に務め、もって国民の負託にこたえることを誓います。
幹部自衛官――
徳操のかん養と技能の修練に務め、率先垂範職務の遂行にあたり、もって部隊団結の核心となることを誓います。
なんの職業でも時と場合によって危険に遭遇することがあるが、それはさておき上記三つの職業は、特に生死の危険をともなう公務員であることは自明である。某政党幹部の某氏(法律熟知の弁護士)は自衛隊を「暴力集団」と呼んだ愚か者がいた。あとで言い直しはしたが思いやりのかけらも持ち合わせがない論外の輩らだ。実際、現在論議している政治家は戦中、子供ながら空腹だったとか空襲を受けた方は多少はいるかも知れないが敵と戦った戦争体験者がいないはず。かろうじてヒゲの隊長佐藤正久議員がそれに近いぐらいではなかろうか。

小生19才のころ、陸軍士官候補生として隊付き勤務つまり普通の兵隊さんのいる一般の歩兵連隊へ見習に1か月派遣された。実際に兵隊さんを部下に持ったのは初めてで、中には著名な写真家、京都の羊羹やの組合長、やくざの親方などがいたが、この人たちにも家族がいるだろう。この人たちを戦地で指揮して戦死でもさせたらと。また、果たして軍刀を抜いて突撃のとき部下は着いて来てくれるのだろうか?深刻に考え悩んだものだ。危険な職業とはこんなものだ。

与党のなかでも安保法制論議で自衛隊の生命の危険(心配するのは結構だが相手次第)は?とか、例外なき事前承認とか?野党は野党でかっこいいようだが、敵に攻められたら専守防衛に徹する(本土決戦や手も足も出ず玉砕した沖縄戦のようにしたいのか?)という意見を、失礼だが大事な国費をかけて延々とやっているが、何となく机上の空論のようで戦前派の老生には戦闘惨烈の局所、食うか食われるかの戦争と違い過ぎて誠に理解に苦しむ。こんなことではいざというとき自衛隊はいくら精鋭、最新兵器を所有していてもウロウロするばかりだ。

かつて瀬戸内海で通航料をとった水軍(海賊に近い)でもあるまいが注目の西沙諸島で中東からのわがタンカーのシーレーンはどうなるのか、一島を埋め立て軍事施設を造ったり、領海空侵犯、ミサイルを飛ばすのを平気でやる。わが国周辺は火山噴火前の初期微動のようで、油断は禁物だ。そして結局は自衛隊の出番なのである。小田原評定をやっている現在でも周辺国は着々軍備を増強しているのを忘れてはいけない。

自衛隊の諸君の主たる任務は国防だ。国民の生命、財産を守るため多くの機材を有しているので、災害出動ももちろん重要な任務のひとつだが、最も肝要なのは世論に惑わず、国土防衛のため、任務遂行に不断の訓練を重ね、逞しく国民の負託に答えられるよう外敵に対し、強い自衛隊を作ることだ。われわれはそれを良く理解し、応援しようではないか。国民の覚醒を切に望んでいる。