2013年(平成25年)12月1日号

No.593

銀座一丁目新聞

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茶説

都知事、5000万円借金の意味するもの

  牧念人 悠々

 幸事魔多し。良い事は長続きしないとはよく言ってものである。猪瀬直樹東京都知事(67)は小泉純一郎首相のもとで道路公団民営化を果たし、東京都の副知事から最高得票数で都知事に当選。2020年の東京オリンッピク開催へ大活躍する。あと7年、それまで都知事の地位は安泰と思われていた。それが5000万の借金で都知事続投を宣言するもその人気は急落。その政治力は半減した。人の世はまことにわからない。

 「君子、危きに近寄らず」という。借金した相手が悪かった。“噂”の尽きない徳洲会からの借金だ。銀行なり友人から借りた方がベターであった。商売は上手でお金持ちかもしれないが「噂の人物」は避けた方が良かった。猪瀬都知事に人を見る目がなかったのか、側近に人を得なかったのか惜しまれる。

 「金にその人の人間性が現れる」。私などはお金があればなくなるまで使ってしまう。在職中、会社から借金ばかりしていた。先輩から「名文を書きたいならば貯金をするな。金があれば遊べ」と教えられた。お蔭で貯金はできなかった。借金した相手が会社だから給料引きで情け容赦なく毎月返済させられた。借金の残金は退職金で返済した。「お金は天下のまわりもの」などという言葉を私は信用しない。

 猪瀬都知事は「個人的借金だ」という。それも無利子、無担保だ。時期が悪い。借金は都知事選直前である。個人的にそのような大金がなぜ必要なのか、疑問が残る。借金に当たり徳洲会側とのやり取りに食い違いがも散見される。たとへ法律的にそれが通用しても庶民感覚からいうと頭をかしげざるを得ない。街のスパーマーケットには卵の安売り日、庶民が列をなし、買い物も1円でも安いものを買う主婦・主夫の姿が目立つ。市民団体が猪瀬都知事を公職選挙法(虚偽記載など)で東京地検に告発するのも当然である。

 君子は人の見えない堂奥にいても恥じるようなことはしないという。だが、これは難しい。人間は人がいないところで缶の投げ捨てから談合、汚職など様々なことをしでかす。私も今「特定秘密」を何とかして盗み出し、あるいは聞き出す方法はないものかと考えている。所詮、猪瀬都知事も君子ではなかったということか・・・