2013年(平成25年)9月10日号

No.585

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茶説

東京オリンピックの意味するもの

  牧念人 悠々

 2020年のオリンッピクは東京開催と決まった。昭和39年の東京オリンッピクがそうであったように『大きな変化』が起きる予感にとらわれる。あと7年先だが時代が激げしく動く中、アジアの一国、日本が選ばれた歴史的意味合いに身震いする。現在日本が置かれた環境を考えてみるとなおさらである。東日本大地震に会い、復興が遅々として進まず、福島原発事故は汚染水処理を含めて放射能汚染の恐怖を世界に漠然と与えている。原発問題題については常に事故の対応・処理の在り方を先例として論議される日本となっている。さらに軍事力を増強する中国とは尖閣列島をめぐり緊張した関係にある。隣国同士の首脳が気軽に話し合えないのは異常である。韓国とも歴史認識をめぐってうまくいっていない。さらに言えば、北朝鮮は国際世論に背いて核武装に狂奔している。そそれでも60人のIOCの委員らは日本の「安全。確実な運営」に一票を投じた。それは経済規模世界第三位の日本の存在が平和を求める世界に必要という期待もあったのだと思う。もともと近代オリンッピクの創始者クーペルタン男爵は若者たちのスポーツ競技を通じて世界の平和を前進させようとした。この意義を日本は忘れてはなるまい。

 49年前、アジアで初めて開かれた東京オリンッピクを振り返ってみる。時の首相は池田勇人。所得倍増論を唱え日本経済は10%を超える成長を続けていた。東海道新幹線が開業(10月1日)するなど東京の高速道路が完備する。経済開発機構(OECD)に加盟、国際舞台でも発言力をつよめる。東京オリンッピクで流行語になったのは「根性」。レスリングの八田一朗会長が選手を励ますのに「根性のないヤツはやめろ」と激励したからである。ついで「俺についてこい」。女子バレーの大松博文監督が”東洋の魔女”たちをそう言って指導からである。「コンパニオン」もこの時生まれた新語だという。

 今回は「アベノミクス」である。道まだ半ばである。オリンッピクの経済効果は3兆円といわれている。問題は経済成長である。安倍内閣の手腕にかかっている。「オリンッピク開催」の目標となすべき課題が明確になった。蛮勇をふるってやるほかあるまい。当時の流行語を見る限り前向き思考である。オリンッピクは国民に夢とやる気と生きる希望を与える。

 さあ、新しい時代を迎える。萎えた心ではだめだ。胸を張って先に進もう。嘆いていては東京オリンッピク賛歌を歌えない。「東京開催」はチャンスだ。我らに後ろ向きの歴史はない。東京五輪ではメダル獲得は米、ソ連に次いで3位。その数、金16、銀5、銅8であった。前進、また前進だ。「平和」を求めて力強く歩もう。