2013年(平成25年)8月10日号

No.582

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花ある風景(500)

 

湘南 次郎

 

「終戦のエンペラー」を観て
 

 また、8月15日がやって来た。70年近く前の終戦を思い出し、近くの新しい映画館で娘に予約席をとってもらい映画「終戦のエンペラー」を鑑賞した。久しぶりに後味のいい映画であった。そして、さすがアメリカと、他国(特に中韓露)では到底考えられない立場で制作したのに感心する。原作は岡本 嗣郎氏「陛下をお救いなさいまし 河井道とボナー・フェラーズ」とのことであるが、アメリカ映画(監督ピーター・ウェーバー)であることに違いはない。

 筆者は銀座一丁目新聞主幹の牧念人 悠々氏と陸軍士官学校の同期生であり、終戦を同じ中隊の19歳で復員(解散)を迎えたが、この映画で終戦前後当時のアメリカ軍の様子の一端を知ることができる。ダグラス・マッカサー将軍(トミー・リー・ジョーンズが好演)が厚木飛行場へ降り立ち皇居前の第一生命ビルを接収して、占領軍司令部としてより、日本の占領政策に腐心するさまを描いている。部下フェラーズ准将に命じ、天皇陛下に裁判や退位もなく戦争責任を及ぼさないよう、とりまく重臣のひとびとを次々逮捕取り調べしながら、日本人が敬慕してやまぬ陛下を守り、日本人の心をつかみ平穏に日本の復興を、さすが、アメリカウエストポイント(陸軍士官学校)の俊才マッカーサー将軍、宣撫工作の見事さを描いた力作。

 映画を通じ、アメリカ以外の他国に占領されなかったことの僥倖ともいえる幸せを感じざるを得ない。最後に陛下がマッカーサー将軍を訪問され、ご一身に戦争の全責任を取られ、国民に累を及ぼさぬよう告げられた様子などはまさに感激であり、この映画のクライマックスだ。主役は大の日本好きで引き受けたと、8/2夕刊読売に載っていたが、一本、筋のとおった将軍の所作には旧軍人として好感が持てる。

 ときあたかも、同盟国でなければならぬ韓国の不法占拠の竹島や、慰安婦問題。一方中国との尖閣諸島、東シナ海石油基地や靖国参拝問題など考えたら、こと映画とはいえ、さすがアメリカは民主主義の国、われわれが観ても同感の良い映画を作れるものと感心する。百聞は一見しかず、戦争を知らない青年諸君に歴史の勉強として戦後の日本復興のかげにこんな物語があったのかと、ぜひ観てもらいたい。ほとんどが実話なのだから。

 勿論、日本人の出演した俳優も准将の恋人役になるかわいい初音 映莉子、温厚な叔父海軍軍人鹿島の西田 敏行、気骨稜々の内大臣次官関屋になった夏八木 勲(その後鬼籍に入られご冥福をお祈りする。)、そのほかの方々も魂の入った好演であった。