2013年(平成25年)5月20日号

No.574

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茶説

拉致問題はいつ解決するか

   牧念人 悠々

 内閣参与飯島勲さんが拉致問題解決のため北朝鮮の要人と会談して帰国した(5月18日)。初め日本側はこのニュースを秘匿したかった。それを北朝鮮側が公開して大ニュースとなった。5月16日のブログ「銀座展望台」で次のように書いた。

 「内閣参与飯島勲さん(62)ひそかに北朝鮮を訪問する。狙いは拉致問題。日本側が秘匿したかったのに北朝鮮は公開する。このちぐはぐは両者の思惑違い。
 政府の努力は多とするも北朝鮮は拉致問題ではテーブルにはのってきそうにもない。
 道筋をつけるにしても両国の首脳会談はまだ先の話であろう。
 飯島さんのこと何か仕事をしてきて来ると期待している」

 飯島さんは「拉致、核、ミサイルの諸懸案の包括的解決「という日本政府の基本方針を伝え「拉致問題の解決がなければ日朝関係は動かない」率直に意見を述べたという。今回の飯島さんの訪朝の手引きをしたのは朝鮮総連のルートといわれる。飯島さんが会談した北朝鮮側の要人・金永南最高人民会議常任委員長らの顔ぶれを見れば、今回の飯島さんの訪問が大いに歓迎されたかがわかる。直ちに拉致問題が解決するわけではないが、これをきっかけに新たな進展を見るであろう。とりあえず日本側は総連本部の土地、建物をめぐる競売問題を解決して総連が引き続き建物を使用できるよう配慮せねばならなくなった。突然の飯島さんの訪朝を米国も韓国もいい顔をせず、「不愉快」だと批評したり北朝鮮の「分断作戦」だと解釈したりしている。だが、拉致問題は日本の主権にかかわる。戦争になってもおかしくない事案である。これを解決するには拉致された人物の釈放、日本国への謝罪、賠償などが必要である。「専守防衛」の日本はあらゆる手を使って努力してきた。いまだに解決していないのだ。日本が独自に動いても何ら非難されることはない。

 北朝鮮も核実験、弾道ミサイルの発射で各国から経済制裁を受け、経済的に困窮してきたようである。日本からの援助がほしいのであろう。これまでの瀬戸際外交を観れば北朝鮮は「求愛を恫喝で示す」行動をとる。これまで米国も何回となく騙されてきた。今回は飯島訪朝を友好ムードで演出した。北朝鮮のメディアは壌民族公園、綾羅イルカ園、人民野外スケート場などに案内されショーを見て拍手する飯島さんの様子を写真付きで報じたのだ。何かたくらみがあるのではないかと勘ぐりたくなる。むしろ「恫喝」より怖いのではないか。外交には裏表ある。硬軟両方を巧みに使うのが常道である。外交交渉は「誠意」が一番正しいと聞いている。拉致問題で北朝鮮が一刻も早く「誠意」を見せるのを期待する。