2013年(平成25年)2月10日号

No.564

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茶説

レッドカードの国3ヶ国、北朝鮮、イラン、中国

   牧念人 悠々 

 米国の力が衰えてゆく中、親米の日本、イスラエル、英国が地域安定の火種だとしてその国の頭文字をとって「J I Bs」(ジブス)が国際社会の懸念材料として意識され始めたという(日本経済新聞)。名付け親は米国のユーラシア・グループ代表のイアン・プレマーである。こんなバカな話はない。日本を例に挙げれば、他国が手出ししない限りこちらからは仕掛けない。また同盟国が敵に襲われても見過ごして手出しをしない日本がなぜ地域紛争の火種になるのだ。1月30日起きた中国フリゲート艦による海上自衛隊の護衛艦への火器管制レーダー照射事件を見ても理解できよう。最近「ワールド・レッドカード・グループ」代表の牧念人悠々の話を聞く機会があった。世界の平和を脅かしているのは北朝鮮(人口2千390万人・GDP400億ドル・一人当たり1700ドル)、イラン(人口7千419万人・GDP8197億ドル・一人当たり11250ドル)、中国(人口13億5382万人・GDP12兆3820億ドル・一人当たり9146ドル)である。その国の頭文字をとって「N I Cs」(ニックス)の存在がレッドカードの国としてクローズアップされているというのである。つまり”地域の火種“ではなく、すでに”炭火”になっているという指摘である。北朝鮮と中国は共産主義の国である。軍隊は国の軍隊でなく共産党の軍隊である。イランは宗教上の最高指導者が国の最高権力を持つ。北朝鮮は核保有国となり、3度目の核実験をしようとしている。先の長距離弾道ミサイル発射実験で国連安保理事会から経済制裁を受ける。過去の事例を見てもさしたる理由もないのに韓国の海防艦を沈めたり、砲撃を加えたりしている。しかも韓国に謝罪も被害の補償もしていない。日本人拉致問題もいまだに解決していない。北朝鮮は何をしでかすかわからない。おそらく21世紀に入ってこの国が最初に核兵器を使う恐れがある。核兵器が過激派武装テログループにわたる可能性が最も高い。

 イランは北朝鮮と密接な国である。ミサイル、核技術など互いに協力・支援しあっている。まだ核兵器を作れるという段階まで核開発が進んでいないようである。そうなれば国連による制裁はきかなくなる。「それまでになんとしても核開発を阻止したい」というのがイラン攻撃を示唆するイスラエルの立場であるという。北朝鮮の核開発をめぐる中国、ロシア、韓国、日本の5ヶ国協議が何回も続けられたが結局、北朝鮮に振り回されただけに終わったことを考えればイランも北朝鮮の道を歩むことになろう。

 経済大国・中国は毎年のように軍事費を増大し着々と海洋国家を目指す。中国は第二次大戦まで欧米・日本から植民地化された屈辱を忘れていない。この点を見逃してはならない。その屈辱を返すためには軍事力の増強しかないと、なりふり構わずの軍事力増強である。海洋資源をめぐって日本、フイリッピン、ベトナムと紛争を起こす。この海洋問題がこじれると大変なことになる。軍に強い習金平の登場はさらに周辺国との緊張感を増すであろう。国内問題は深刻なものがある。農村と都市の格差は広がるばかり。暴動も後を絶たない。汚職もはびこる。8300万人の共産党員が国を牛耳る構図がいつまで続くのか。ソ連共産党一党独裁が70年間続いた歴史に照らせば中国共産政権の誕生が1949年10月、その寿命は2019年、あと6年で尽きることになる。もっとも中国共産党指導部はロシアや東欧に幹部を派遣、共産党崩壊の原因などを調査し、それなりの対策を立てているようだが崩壊の流れは速いとみる。いずれその内部矛盾が爆発する時期が来る。

 2001年9・11以来テログループ対自由主義諸国の新しい型の戦争が続く。国同士の戦争が起きる可能性は極めて低い。だが、地政学的に見て「NICs」の中国、北朝鮮は日本とは「一衣帯水の国」である。これに備えるには米国とさらに深い同盟を築くほかない。沖縄に米軍の基地が集中するのは沖縄が戦略要地だからである。まことに沖縄の人たちにとって不幸なことである。それが現実である。朴念人悠々は「戦争をしろというのではない。自分の国を自分たちで守る気概の国は亡びる。そのうえで日米同盟を強化しなければいけない」と結論付けた。