2012年(平成24年)7月10日号

No.544

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茶説

小沢一郎さん、置かれた場所で咲きなさい

 牧念人 悠々

 ノートルダム清心女子大学理事長・渡辺和子さんが出版した『置かれた場所で咲きなさい』(幻冬舎)は分かりやすく示唆に富む。まず本の題名は「人はどんな場所でも幸せを見つけることが出来る」ということである。政治の世界でも立派に通用すると思うのだが・・・。一体改革法案に反対した民主党の小沢一郎元代表は衆参議員49名を引き連れて民主党を離党、新党を発足させる。一体改革法案は党内で議論して決定したもの。民主主義は決まるまでは喧嘩をし、議論をしてもよいが一旦決まったら不満であっても従うのが本筋である。それを反対しておきながら責任も取らず本筋を曲げようとさえするのだからあきれてものも言えない。小沢新党の行方はまことに暗い。総選挙があれば殆どが落選するであろう。多くの国民が小澤新党には期待していないからである。壊し屋の異名を持つ小澤さんに今更『置かれた場所で・・・』とを言っても無駄かもしれない。

 30歳間際で修道院に入った渡辺和子さんは36歳の若さで大学の学長になった。岡山出身でもなく同大学の卒業生でもない彼女は苦労しノイローゼになりかけた。見かねたアメリカの一人の宣教師が渡したのが『置かれた場所で咲きなさい』という短い詩であった。彼女は自分で心の持ちようを変えた。そしたらみんなが笑顔でついてきたという。

 テレビで一体改革法案の衆院通過した際、造反者の投票シーンを見ながら思った。あの議員達の姿は「敵前逃亡」と。首相が『政治生命を懸けて成立させる』といって法案成立を期しているのに指揮官の突撃命令を聞かず青票を投ずるのだから“敵前逃亡”といっていい。権謀術数の政治の世界であっても恥を知り、責任をとり,党議を守るのが当然である。情状酌量の余地がない。私には良心のかけらもなように映る。

 この本には小学校6年生の詩が紹介されている。
 「王さまのごめいれい」
  といって、バケツの中へ手を入れる
 「王さまって、だれ?」
 「私の心のこと」

 寒い朝、雑巾をゆすいでいる少女の心の揺れをうたったものである。私たちの中に善いことをすすめ、悪いことを制止してくれる“王さま”が住んでいるというのだ。造反議員達はこの少女より劣るではないか。

 造反議員達に本の中から次の言葉を贈る。「時間の使い方はそのまま命の使い方にもなる」。聖書の中に『天の下の出来事には、すべて定められた時がある』と言う言葉がある。時を待つことの大切さを教えたものである。離党した以上願っていることの成就のために苦しくても我慢するほかない。それをあなたたちが選んだのだ。