新山恭子の気軽に心理学(2)
気付いていない自分

新山 恭子

 習慣やパターンで、人と関ったり、物事を決めていくと、いつのまにか、自分らしく生きていない状態になっていきます。これは、本当の自分がそう考えているかどうかも、気付かなくなっているのです。では、自分に気付いていくには、どうすれば良いのか、ちょっと考えてみましょう。人と健康的な関係を築くにはまず、自分自身とコミュニケーションがとれているかが、ポイントになります。私達は、関係が親しければ、親しい程、無意識に、相手に言葉を、投げてしまいがちです。この無意識の中に、気付いていない自分がいます。人と関ったり、いろいろな経験をすると、この無意識が勝手に動き出して、気付かぬ内に、相手を傷つけ、自分を傷つける様な事態になっていくのです。無意識の心理には、いったい何があるのか?余り表面には出したくない自分=コンプレックスがあります。何でもない事と言われても、その人のコンプレックスに、ひっかかると過剰に反応し、理由もなくイライラ、ムカムカして、相手が悪人の様に見えたりするのです。これは相手のせいではなく、自分の中のコンプレックスの為せる所なのですが、つい私達は、自分と違う他者を悪者にする事で、落ち着こうという傾向があります。

 コンプレックスは、逆に働く時もあり、何でもない人が、とても素敵に見えたり、自分のない面に魅力を感じて、相手を過大評価してしまいます。コンプレックスは、その人にとって、使いたくない物、使ってない能力であり、言い換えれば、潜在能力です。ここに気付くと、今まで毛嫌いしていたもう一人の自分をとり込み、新しい自分とコミュニケーションが可能です。子供と対話していて、「あっ」と気付かされる時があります。「親」の仮面だけで、関っていると、子供に教えてもらうなんてとんでもないと、それ以上質問したり、対話を深められません。素直に「そうだったんだ」と今までの思い込みや勘違いに気付く発見は、どんな人間関係でも可能です。私は、これが好きで、これが苦手といったあたり前の自分を、事あるごとにチェックしていくと、ムカッとした時、感情に流されて行動せず、「自分のコンプレックス」を知り、冷静に関って行けます。程良い健康的な距離を取る人間関係は、それまで、気付かなかった新しい自分に出会わせてくれるでしょう。


 ★新山 恭子(にいやま・きょうこ)1948年(昭23)12月21日、東京都生まれ。東亜国内航空(現JAS)客室乗務員として勤務した後、秋山さと子氏に師事しユング心理学を研究。現在は産能大学経営開発本委嘱講師を務めるかたわら、ドリームコンサルタントとして講演、研修などで活躍。 


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