ビックリニッポン日記 (20)

目黒 ゴン太

 先日、いつも通り、大学の講義へ向かった私は、少しショッキングな事を知らされた。その日私は、受講するはずであった「倫理学」の教室に少し遅れて入って行ったのだが、その中では、いつもと違うムードが漂っていて、教壇には、いつもの教授とは違う男性が立っていた。とりあえず、席に座ってその男性の話を聞いてみると、どうやら、いつもの教授は、大学内でのセクハラをして休職となった為、以後、この「倫理学」の講義は休講となると報告している所だと知った。

 このことを聞いて、私はショックを受けた、というかとても複雑な気持ちになった。他の学生たちの中からは、金を納めているのに大学側の事情で休講となる事に対する抗議が出ていた。それはそれでもっともな意見なのだが、私は、教授と大学に対して、失望感とでも言うのだろうか、少し気が抜けた様な感じになっていた。この講義は、数多く取っている講義の中で、数少ない興味深いものであったし、一番真面目にノートを取っていた講義でもあったこともあるが、何よりも私が失望感を抱いたことは、この事実が、今年の4月に、既に発覚していたにも関らず、12月の初めまで、調査という名目において発表されずにいたことである。確かに、事実と解るまで、中途半端な形では公開し、教授を辞めさせる訳にはいかなかっただろうが、当事者である者は告発を受けた段階で、そうした事実が有ったかどうかは、分かり切ったことである。にも関らず、4月から長い間教壇に立っていた事、又、結局、発表するにあたっても、自分が出て来ることはなく、代理を立てて幕を引かせるという姿勢に対して、何か少し馬鹿にされた様にさえ思え、怒りを通り越して失望してしまった訳である。

 一人の教授に対して、抱いていたイメージと大学に期待していた何かが壊れていったと同時に、そう感じていた自分が馬鹿バカしく思えてきている今日この頃である。


                

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