2011年(平成23年)12月20日号

No.524

銀座一丁目新聞

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茶説

米国で流行する夜明けのスキャット

 

 牧念人 悠々

 アメリカ・ニューヨークで由紀さおりの『夜明けのスキャット』が人気を呼んでいるという(テレビ朝日)。この歌は日本では1969年(昭和44年)に流行した歌である。あの時代と現代が似ているのであろうか。ニューヨークでは「格差是正」を叫んで連日デモ騒ぎが起きた。一時は全米に広がる勢いであった。アメリカの失業率は9・09%(日本4.87%)で、確かに高い。中東では「アラブの春」の嵐が吹いて「貧困」「格差」「独裁打倒」で民衆が立ち上がった。その目的を達したが今、産みの苦しみをあじわっている。

 あのころの日本は、GNPがドイツを抜いて第2位となり、自動車保有台数も1652万台に達し、アメリカに次いで2位となった。むしろ景気は上向いていた。ただ前年、学園紛争が各地で起こり、新宿駅を占拠したり、東大・教育大で入学試験が中止になったりした。若者の間には言い知れぬ寂寞感があったようである。毎日新聞はコラム『時代の風』でも坂村健さんが由紀さおりを取り上げている(12月18日)。由紀さおりのアルバム「1969」のCDや配信も各国のチャートの上位に入っていると紹介しながら『日本がダメだ』と言う論が多すぎる。良いものは世界位に通用すると論じている。歌に国境なく、良い歌はその国の人々にも異国人にも快く響くということであろう。それを由紀さおりは今回、日本語の歌詞で押し通したところに新鮮さがある。この歌には一番は歌詞がなく「ル、ル、ル・・・」で終始する。もともとTBSラジオの深夜ラジオ番組「夜のバラード」で放送され、歌詞は後で付け加えられた。このころ深夜放送が花盛りで、深夜起きている人は全国で330万人、放送を聞いている人は60万人から70万人と言われた。今はもっと多いであろう。

 ちなみにNHKの深夜便で誕生日の花と花言葉にちなんだ短歌の放送が始まったのは平成17年4月1日である。鳥海昭子さんの短歌が視聴者の好評を呼ぶ。由紀さおりさんの歌と同じく短歌も人々の琴線に触れる。

 「書くことは考えること生きること明日の日の出は六時八分」

 生涯ジャーナリストを目指す私は書くことが生きがいである。どこかに書く材料が落ちていないかを探す日々である。

 「謝りたい詫びたい人のいる故に今死ぬことはゆるされない」

 私はこのような心境にはなっていない。まだまだこの世にしておかねばならないことがたくさんある。勉強もしなくてはならない。これまで仕事にかこつけてさぼりすぎた報いである。坂村健さんの言う通り「内向き志向ではだめ」である。日本文化は世界に通用する。2011年は間もなく終わる。

 「由紀の歌生きることなり年の暮れ」悠々