2011年(平成23年)5月10日号

No.503

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茶説

ビンラディンの殺害に思う
 

牧念人 悠々

 2001年9月11日の米国多発同時テロ事件の首謀者・国際テロ組織の最高指導者・ウサマ・ビンラディン(54)が米軍特殊部隊によって殺害された(5月1日)。9・11事件では3000人の人々が死んでいる。この中には日本人も24人含まれている。それでも新聞、テレビは襲撃時、ビンラディンが丸腰で殺害されたことを非難めいて報道する。戦いの場は千差万別、想定外のことが起きる。一瞬の躊躇が突撃部隊の失敗にもつながる。2001年9月20日号「銀座一丁目新聞」で次のように書いた。

 「名月やビル廃墟の影無残 」(悠々)

 『落とされた影がえがくものは「テロの狂気」である。ブッシュ大統領はそれを「戦争行為」と呼ぶ。「国がみえず、その姿が明らかでない新しい型の戦争である」と、識者はいう。テロであれ戦争であれ、今回の出来事は理不尽きわまる。敵の奇襲によって数千人の犠牲者が出た。救助に出動した二百人を超える消防士、警官も巻き添えを食った。ハイジャックされた航空機の乗客、乗員266名も不条理な死の道づれとなった。心から哀悼の意を表したい。

 軍事超大国のアメリカに刃向かうとすれば、ゲリラ戦法しかない。敵の武器を奪い、その心臓部に奇襲攻撃をかけるのがもっとも効果がある。組織的に用意周到な準備をした敵は、民間航空機をハイジャックし、満タンの燃料をも武器にして、貿易センタービルと国防総省に特攻をかけた。実行犯19名をふくめてゲリラ部隊は恐らく60人前後であろう。もともとゲリラは良民を巻き添えにしない不文律があるが、昨今はそのかけらもない。とりわけ乗取った航空機を乗客を乗せたまま特攻機にするのは悪魔の知恵というほかない』

 事件から10年後の首謀者の死に深夜にもかかわらずワシントン・ホワイトハウス前でもニューヨークでも大勢の市民が「USA、USA・・・」を連呼して歓声を挙げた。それは新しい型の戦争「自由諸国対テログループ」の戦いの大きな勝利であったからである。だが、新しい型の戦争は頻発しないにしてもなおも続く。「テロ」に対する日本人の警戒心は極めて低い。今後も「テロ」を対岸視してはなるまい。

 中国で出版された「超限戦」には、古典的な国家対国家ではなく、ゲリラグループ対国家の戦争が起きるようになると、指摘する。この戦争はどこでも、どのような形でも起こりうるのである。日本でも起きる可能性がある。また、旅先で乗った飛行機がハイジャクされて、そのまま、軍事施設なり、高層ビルに突っ込む事態になるかもしれない。常に最悪の事態を考えて対処しなければいけないところにきている。けして想定外のことではない。