ビックリニッポン日記 (18)

目黒 ゴン太

 メディアを通じて,世界中の貧困、悲惨な状況が、日々伝えられている。そういった事実があることは、日本という裕福な国で暮らしている私達も常識として皆、分かっているだろうが、しかし、日本から観ている限り、私は、こうした"ドキュメンタリー"の傍観者でしかない。

 傍観者の私は、よくTVの中にある貧困、悲惨を見ていると、"私だけこの様な恵まれた中にいてよいのか、何か行動に移さねばならないのではないか"といった衝動にかられる。しかし、私には、何をすれば良いのかわからないし、何もできないのが実状である、と勝手に自分を納得させ、当然の事ながら、決してこうした世界中で巻き起こる悲惨な事実を観続けることは、気分の良いことではない訳で、目の前のTVから逃げて、なるべく考えない様にしていたのであり、そういった情報を耳に入れないで暮らしていると楽になれる自分がいたのであった。

 しかし、3ヵ月程前に読んだ本の中に外国人フォトジャーナリストの意見がのっていた。彼は世界中で紛争や貧困を撮り続けているのだが、その悲惨の起こる現場にいる彼でさえ、当事者、つまり悲惨な状況の中にいる人々とは関ることができない現実があるという。しかし、彼は苦しんでいる人々に何もできないとしても、その現実に目を背けることで、無関心になってしまう自分がいやで、その為彼はライフワークとしてそういった写真を撮り続けているのだそうだ。

 これを読んだ後、私は、無関心にあえてなり、楽になろうとしていた自分を恥じたと同時に、私も何も今できずとも現実を直視し続けることの必要があると感じた。とにかく、無関心のままでは何もできず、何も生まれない。とかく無関心を決め込むことが多い日本の中でも、こうした事からは目を背けることはいけないと最近考えている。


                

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