2010年(平成22年)11月1日号

No.484

銀座一丁目新聞

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安全地帯(301)

信濃 太郎

情報時代の恐ろしさ
 

友人の安田新一君が随想を書いてくれた。そのままのせる。


 この2年ほど月数回「理科主任殿」と学校当ての本の売り込みとか、講習会の通知とか当方に誤りのFAXが昼夜を問わずいろいろの会社から来るようになった。かって、学校関係に勤めていたこともあり、その頃の名簿を見たのかな、とタカをくくって放置していたものの、とにかく早寝、早起きの年寄り(84歳)に来るベルは、急な事故と近親者の訃報などロクなものはない。ドキッとして胃に悪いし目覚めてしまう。おまけにアレヨアレヨと数ページに渡ってくるのである。用紙も馬鹿にならず、はなはだ迷惑千万な話である。仕方がないので相手各社にその都度電話で間違いを指摘し、訂正を求めた。FAXの頻度は多少は減ったが、まだまだ直らない。先日、ある心配事があってから就寝したところ、けたたましいベルでたたき起こされ、ドキッとしてあわてて受話器を取ったら例のFAX.ついに堪忍袋の緒が切れた!
 翌朝一番に先方に電話、相変わらずすみません、申し訳ありません。そこで、一計、当方へのFAXの根拠としている名簿があるはず、それはどこから入手したか問いただす。これが「秘密情報保護法」に引っかかるのか、なかなか白状してくれない。事情を懇切に説明してやっと納得してもらい、そのタネ元になる名簿屋の電話番号を聞き出した。

 早速、そちらへ電話で詰問したところ、担当者は平謝りだ。こちらは、誤ったぐらいではすまされぬ。平穏な市民生活を脅かす損害賠償にも関わる問題なのだ。私たちも開校百年からの同窓会名簿を管理するのに名簿管理会社に頼んでいるが、クラス会などで必要な時はその年度を摘出して貰い一部だけ購入、それをコピーして皆に配る。このようなことは良い悪いは別として今は茶飯事である。その名簿にもし、あやまりがあれば、それがそのままダイレクトメールとか選挙だとか諸々方面に使われ、ねずみ講の如く広がっていく。
 名簿屋に以上を説明し今後の善処を約束するが、絶句して返す言葉もない。青くなってあわてているらしい。やがて11月ごろまでかかるかもしれないが訂正しますと。処理後の実行報告の確約を貰い落着したかに見えたが、先日また一件のFAXがあり、連絡する。まだまだ油断できない。何ともはや、とんでもない世の中の被害者になったものだ。
 
 「親ガメの背中に子ガメが乗って、子ガメの背中に孫ガメ乗せて・・・」。冗談じゃないが当家の情報戦は、まだ当分続くだろう。