2010年(平成22年)8月1日号

No.475

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茶説

世論の動向をつかむために
 

牧念人 悠々

 時代は激動する。傑出した為政者は真っ白なカンパスに雄大な構想を描く。それが世の中を動かす。また凶悪な事件が人心を惑わし、少しづつ世の中を悪くしてゆく。世の中の出来事を予測するのは難しい。しかしある程度は予測可能である。マルクハーンという学者は「悪いニュースには変化の芽がある」といった。評論家・大宅壮一さんは「芸能ニュースは政治ニュースを先取りする」といった。人間のやることは芸能界でも政治の世界でも同じであるというのであろう。そういえば昨年の「銀座展望台」(10月27日)で次のように書いた。

 ▲酒井法子被告(38)の覚せい剤取締法違反の初公判に、20枚の傍聴券を求めて、折からの雨をものともせず、日比谷公園に並んだ傍聴希望者6615人。ノリピーが法廷に引き出されるシーンはまさに「ワイドショウー」の極地である。
「人の不幸を見たい」という人間の深層心理のなせる業か。さらけだされるアイドルを一目見たいという人間のマゾヒズムか。
「平和な風景」を通り越して異常現象である。
大宅壮一は「風俗は政治に優先する」といった。なぜか、この日、臨時国会の所信演説で「いま取り組んでいることは無血の平成維新です」と見得を切った鳩山由紀夫首相と酒井紀子の姿が二重写しになった。
鳩山首相は何につまずくのか、それとも社会体制の変質や解体を見事に果たすのか。
酒井紀子は夫と離婚して介護の仕事をして更生したいと述べたが・・・・ 

 それから7ヶ月後鳩山由紀夫首相は小沢一郎幹事長を道連れにして辞任した。酒井法子の事件は見事鳩山首相の辞任を暗示したといえる。酒井の場合「覚せい剤」である。鳩山の場合は「普天間基地移設問題」と「政治とお金」であった。その意味ではスポーツ新聞は大いに読むべきである。これから起きる政治的大事件が予測できる


次に私が重用しているのが新聞の世論調査である。再び「銀座展望台」7月27日)を引用する。

▲毎日新聞が「記者の目」で世論調査を取り上げていた。書き出しは「マスコミの世論調査への風当たりが厳しい。『やりすぎだ』『世論調査が政局を作っているのではないか』ー調査を担当する立場としてこうした批判を重く受け止めている」というものであった。このような書き方では「記者の目」とは言えない。もっと堂々として自分の所信を言うべきである。記者の自由闊達な意見を開陳するために34年前に先輩がもうけた欄である。

 私は世論調査を活用している。「銀座一丁目新聞」7月1日号「茶説」で見出しを〔民主党は参院選挙で過半数は取れない」とした。選挙結果が分かるのは7月11日である。執筆したのは6月末である。なぜこう断言したか。これは新聞社の世論調査の結果、民主党政権の支持率が10ポイントも下落したからである。世論調査を活用したから投票10日以上も前に予想できたのである。

 自分の仕事に自信を持て。へり下るのが新聞記者にとって美徳ではない。

 ニュースを10日以上も前から書くのはしんどい。それが可能なのは世論調査があるからである。世論調査の質問事項と各項目の回答を分析するとある程度の読者の意識がつかめる。テレビと違って記録として残るから私には便利なのである。ともかく新聞には好いことが書いてある。