2010年(平成22年)7月10日号

No.473

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茶説

大相撲名古屋場所生中継中止は遺憾である
 

牧念人 悠々

 大相撲名古屋場所が始まった。いつも以上に土俵では熱戦が展開されている。NHKは生中継しなかったことを後悔していることであろう。相撲の中継中止はNHKの大きな判断ミスであった。ともかく、暴力団が絡む大相撲力士の野球賭博の究明は警察に任せればよい。警視庁はすでに関係個所の捜索を始め,本格的な捜査に入った。

 多くの力士たちは真面目に一生懸命に相撲に取り組んでいる。それを楽しみにしている人々もいる、しかも外国にもいる。そのフアンの楽しみをNHKは「反社会的勢力への毅然とした態度」(産経新聞)を示すため大相撲の名古屋場所の生中継を中止したのはいささか理解に苦しむ。[毅然とした態度]を示す番組を別に作ればよいだけでの話ある。正義を押し立てるのが格好良いと思っているのであろうか。

「銀座展望台」(7月7日)で次のような自分の気持ちを書いた。

『▲NHKの会長さんは殺生なことをする。私が好きな大相撲のテレビ中継をやめるとおっしゃる。この人は若い時、仲間内でマージャン賭けも花札の賭けもおやりにならなかったようだ。真面目な人なのであろう。
だがNHKが検察官のように「正義」を振りかざして「野球賭博」を断罪する必要はあるまい。NHKはそれなりに役割がある。報道機関として大相撲が早く立ち直れるよう励ます番組を組んだらどうかな。
名古屋場所は力士たちが汚名を挽回しようとして白熱した勝負が土俵上で展開されると思う。相撲フアンに多くの感動をいつもの場所より与えるに違いない。
名古屋場所の放映中止は大きな判断ミスである。NHKの会長さんは賭けには弱い・・』

 この気持ちは今直変わらない。毎日新聞には昭和52年12月新社を発足させる際、『開かれた新聞』を目指して画期的な内容の「編集綱領」を制定した。その第2項に(編集方針)「毎日新聞は、言論の自由独立と真実の報道を貫くことをもって編集の基本方針と市、積極果敢な編集活動を行う。また読者、国民との交流をすすめ、社内外の提言はこの方針に照らして積極的に取り入れる」とある。新聞とテレビの違いあっても国民の声には率直に耳を傾け番組制作へとりいれるべきであろう。

 読者の声は中止よりも中継のほうが多かったと聞く。スポニチによれば「中継すべき」が46パーセント「中継すべきでない」が27%であったという。「反社会的勢力との決別」をいうなら毅然として生中継する理屈も成り立つ。生中継中止は暴力団に屈したことになるように思える。

 相撲協会もなぜNHKに強く生中継を望まないのか。「見当外れの理由」で放送を中止するのは契約違反であるはずである。卑屈になる必要はない。国技の相撲を守るのは相撲協会しかない。出すべき膿をすっかり出して世間の非難に耐えよ。