2010年(平成22年)3月20日号

No.462

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茶説

日本の財政は果たして大丈夫か
 

牧念人 悠々

 新党がらみで名前が出てくる与謝野馨元財務相は月刊誌『文芸春秋』4月号で次のような重大なことを述べている。「国と地方を合わせた長期債務残高が2010年度末には862兆円に達する見込みで、国内総生産(GDP)に対する債務残高の割合は181パーセントに達し、先進国で最悪の水準になる」。注目すべきは181パーセントという数字である。世界経済の中で第二位という日本が借金大国になった。ロシアとアルゼンチンが国家破産した時の借金がGDPの60パーセントから70パーセント程度であった。日本はすでにレッドカードを突きつけられている。この事実を声を大にしてもよい。
 浅井隆はその著書『2014年日本国破産』(第二海援隊刊)で、日本は今後50兆円のくらいの借金をする予定である。国家が耐えられる借金の限界はGDPの2倍である。とすると2013年度末に債務残高のGDPの割合が200パーセントになるので借金の限界をこえる。大変な事態になると警告している。財政が破滅すれば預金凍結、新円切り替え、年金停止、スーパーインフレがおきる。敗戦直後と同じような事態となる。敗戦時、国の借金はGDPの200パーセントであった。
 2009年の歳出額は102兆円である。税収は37兆円しかない。借金である国債が53兆円である。このうち国債の利払いと元本返済分が20兆円もある。この様な状況にあるのに、民主党政権は「子ども手当」「高校授業料無償」などばら撒き政策を採っている。しかも消費税も4年間あげないと言明している。異常というほかない。
 毎日新聞の世論調査(3月13日、14日実施)では鳩山内閣の支持率は43パーセント。不支持が45パーセントで不支持率が上まわった。世論調査の質問と回答をこまかく見ると、「この半年間の鳩山首相の政権運営を評価しますか、評価しませんか」の質問に66パーセントの人が「評価しない」と答えている(評価する31パーセント)。この人たちはやがて鳩山政権不支持に転化するであろう。「もっとも不満に思う取り組み案件」は普天間飛行場の移設問題であった(15パーセント)。自民党時代に出来ていた日米合意をそのまま実行すればよかったものを9ヶ月も先延ばしした理由がよくわからない。おそらく決着は「日米合意」の原案通りかそれに近い形で落ち着くであろう。鳩山首相は日本の国防、安全保障、日米同盟についてまったく無知といってよい。
 ともあれレッドカードを出されていうる財政について、小泉純一郎内角で作成した「骨太の方針2006」のように国と地方の基礎的財政収支を黒字化する目標を立てなければならない。わかりやすく言うと、年金も預金もすべてパーとなる時が刻々迫りつつあるということである。敗戦後65年になる。もうその苦しみを忘れた世代が多くなったということであろう。のんびりしすぎである。