2009年(平成21年)11月1日号

No.448

銀座一丁目新聞

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競馬徒然草(168)

―競馬の難しさ― 

 天皇賞(秋)のレース前、「ウオッカという馬はあまり強い馬とは思えないんですよ」と、競馬ファンのひとりが言った。これはあくまでも個人の抱く印象だから、批判はできまい。そのファンは、「脆さがある。それでいて1番人気になるけど、こんな危ない1番人気は買えないですよ」とも言った。これには同感だった。だから人気になればなるほど、「危なっかしさ」を感じてしまう。そうした不安の中で始まったレースであった。結果から言えば、ウオッは勝てないどころか2着も確保できず、3着に落ちたのだから、「やはりな」と、不安の的中に納得するものがあった。
 それにしても、ウオッカの不甲斐なさにはガッカリしたファンも多いだろう。1着はともかく、2着は確保しそうに見えたのが3着に落ちたのだから。馬群に包まれて外に出せず、もたもたしていた。レース運びにスムーズさを欠いた。あの時点で、早くも「勝負あった」と感じさせた。直線で伸びて3着を確保したのは辛うじて面目を保ったというところだろう。
 これに対して、カンパニーの勝利は堂々たるものであった。しかも8歳馬であることを考えれば、敬服のほかはない。高齢化社会を反映するものであろうか。勇気付けられた人も多いようだ。これも競馬の効用のひとつかもしれない。今年の天皇賞(秋)は、そんなことを感じさせた。 
 

(新倉 弘人)