2009年(平成21年)10月10日号

No.446

銀座一丁目新聞

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茶説

鼓腹撃壌 帝王いずこにありや
 

牧念人 悠々

 「鼓腹撃壌」という言葉がある。腹鼓をたたき大地をたたいて歌うという意味である。民が生活に満足している様を言う。その民は「帝王いずくにありや」とつぶやく。平和な暮らしをしているので天下を治める天子様がいるのをついその存在を忘れてしまう。
 民主党政権は、児童手当、中学生までの児童・生徒への学費支援、農家補償制度など「生活第一」に徹する。景気浮揚のための経済対策がないではないかという反論に「この生活第一政策こそが経済対策だ」という。さながら「民主党政権ここにあり」と誇示する。いかがなものか。本来は国民が今の政権の存在を忘れるほどでなければいけないはずのものだ。
 ブログ「銀座展望台」(10月6日)に次のように書いた。
 『心理学者の香山リカさんが4年生の学生に「12月は卒業論文の提出だけれど・・」と催促しても学生たちはそんな先のことより目の前の就職の面接だという。これを「心理的視野狭窄」と呼ぶそうだ。
 民主党への期待が「福祉」「医療」に集中している現状をみると、「日本の病期」はもう少し先まで進んでいるのではないかと診断する(毎日新聞)。
 徳富蘇峰先生は昭和の初めに政治が理想を忘れて「生活」を説くと政治は堕落すると言われた。今の民主党は国家課題に触れず「児童手当」「暫定税率廃止」「高速道路の料金無料化」など「生活」ばかりである。これを「政治的視野狭窄」という。病状はかなり重症である。
 この体たらくを喜んでいるのは中国と北朝鮮である』
 徳富蘇峰の言葉は正確に書くと「国家興隆すれば,理想を以て生活とし、国家衰退すれば、生活を以て理想とす」である。この言葉は総選挙で落選した西村真悟さんが雑誌「正論」11月号の論文の中にあった。西村さんは民主党の「生活第一」のスローガンは国家の衰退を告げていると指摘する。そうかもしれない。私は「衰退」よりも民主党のやり方は国を滅亡する方向にあるような気がしてならない。事態は「政治的視野狭窄」より悪い状態にあると言わざるを得ない。危惧するのは民主党が明らかに中国側に身をすりよせたという事実である。鳩山由紀夫首相が唱えた東アジア共同体はもともと中国が言い出したことである。ここでリーダーシップを取るのは中国である。中国の思うつぼである。
 CO2削減問題にしろ、中国のCO2の排出量は世界一である(07年61億トン・21%・米国57億トン・20%・日本12億トン・4%)。2025年までに25%の削減を明言した日本はここでも中国のしりぬぐいをするつもりか。その裏返しが「対等な日米同盟」である。アメリカの核の傘の中にありながら何が対等な同盟か、集団自衛権も行使できず、米軍が敵に攻撃されても手をこまねいて何もせずにいる状態で対等な同盟を求めるのか虫がよすぎる。11月12日13日来日する米国オバマ大統領との日米首脳会議がどうなるのか、鳩山由紀夫首相は覚悟を決めておいた方がよい。
 東京裁判で無罪判決を書いたインドのパール博士は独立国の定義を次のように書いた。
 1、国家の基本法である憲法は自分たちの手で書く。
 これはいまだに日本人は果たしていない。民主党はやる気もない。護憲を旗印にしている民社党が政権の一員として入閣している。
 2、自国の国土は自分たちが守る。
 若者のほとんどが敵が攻めてきたら逃げると答える今の時代である。防衛費はこの7年間減り続けている。国防の意識がみられない。
 3、国家の祭祀・信仰は何人から干渉されない。
 鳩山政権の閣僚で靖国神社を参拝するものは皆無であろう。外国の要人の中で靖国神社参拝の希望があっても外務官僚が想い止めさせるというから話にならない。
 4、子弟に対する教育も同様に他国かららの干渉を排除して自分たちの意思に基づく。
 歴史教科書をめぐって中国、韓国からの抗議に日本は右往左往しすぎる。歴史認識はその国によって違う。また米国の軍国主義排除の教育方針でリ−ダーが育たず、我利我利の自己主義がはびこってしまった。日本の教育はこれからどうなるか心配である。
 このパール博士の基準からいえば日本はまだ独立国とは言えない。とすれば自民党を中心として民主党の一部その他の政党を含めて「日本独立党」の結成ということになろう。それが日本の政治の行く道であろう。