2009年(平成21年)10月10日号

No.446

銀座一丁目新聞

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競馬徒然草(166)

―逃げと追い込み― 

 9月27日に中山で行われたオールカマー(GU)は、マツリダゴッホの鮮やかな逃げ切りだった。先頭に立って逃げるこの馬を、他の馬がどれも追いかけないのだから、どうしようもない。マツリダゴッホにとっては楽な逃げ切り勝ちだった。この勝利でオールカマーを3年連続制覇という偉業を成し遂げたことになるが、オールカマー史上初の快挙だ。しかも今回は、過去2回の勝ち方とは違って逃げ切り勝ちだから立派なものだ。
 それにひきかえ、1番人気で期待を裏切ったドリームジャーニーの不甲斐なさは、どう表現すればいいのだろうか。ゴール前でやっと2着を確保したが、そのレース振りには不満なファンも多かったようだ。如何に追い込みタイプの馬とはいえ、あまりにも馬群の後ろからだから、楽に逃げているマツリダゴッホを捉えることができないのも当然。いつもこのようなレースしかできないことを、ファンに思い知らせたレースであった。こんなワンパターンのレースしかできない馬が1番人気になるのだから、ファンの心理も面白い。
 いつか鮮やかに追い込んで勝つことを、ファンは夢見ているのだろう。現実のわが身と重ねてレースに夢を託しているのだとすれば、ドリームジャーニーを追い続けるファンの心理も理解できる。競馬とはおもしろいものである。 
 

(新倉 弘人)